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自家発の負荷運転試験【湿式】

キュービクル式の自家発電設備
キュービクル式の自家発電設備。 ※クリックで拡大

平成30年の6月1日に点検要領が大きく改正されたことで、注目度が高まっている自家発電設備の負荷運転を行いました。🔋✨

 

前記事 “防災屋2.0への挑戦” でも少し触れましたが、停電が起こる様な大きな災害がある度に「メンテナンスされていなかった自家発が動かなかった」というような報道がされ、今年も大阪市北区を中心に起こった地震の際に同様のニュースが流れました。📰

参考:毎日新聞

 

今回は地上に設置され、かつ水源も確保できたことから水中にヒーターを入れて熱エネルギーを放出させる “湿式” にて自家発の負荷運転試験を行った模様を紹介させて頂きます。

✍(´-`).。oO(条件が揃わなければ…、、“乾式” に…。。)

負荷運転の準備


🔢(´-`).。oO(事前に自家発の容量を計算して調べて…、、30%以上の負荷がかかるヒーターを準備します…。。)

投げ込み式のヒーターを自家発負荷試験に利用
投げ込み式のヒーターを自家発負荷試験に利用。
近くに水源があったので湿式の負荷試験が可能
近くに水源があったので湿式の負荷試験が可能でした。

自家発と繋がったヒーターの熱を水冷
大型の水槽でヒーターを冷却して熱を発散。
負荷側の端子の二次側を疑似負荷に接続
今回は負荷側の端子の二次側を疑似負荷に接続…。

⚡(´-`).。oO(ちなみに‥、、発電機と負荷の配線を接続する作業は “特種電気工事資格者” の免状が必要です…。。)

自家発の負荷運転開始…!


ヒーター入り水槽と自家発は電線で繋がっています
ヒーター入り水槽と自家発は電線で繋がっています。
防音壁で覆われた変電設備と自家発のキュービクル
防音壁で覆われた変電設備と自家発のキュービクル。

今回の自家発電設備は屋外にあるキュービクル式のものでしたが、他にも屋内にあったりキュービクル式以外のものだったりと種類も様々です。🎨(´∀`*)ウフフ


油圧低下&故障‥


🚨(´-`).。oO(負荷運転開始十数分で…、、運転停止されていしまいました…。。)

自家発“故障”のランプが点灯し自動停止
“故障”のランプが点灯し自動停止しました…。
“油圧低下”のランプが点灯
“油圧低下”のランプが点灯しました…。

どうやら自家発停止の原因は、メンテナンス不足でエンジン内に油がうまく回っていなかったことのようでした。💔

改修までが“メンテナンス”ということで…


⛽(´-`).。oO(今回は燃料のフィルターと…、、エンジンオイルのフィルターを交換しました…。。)

 

交換用の各種オイルとフィルター
交換用の各種オイルとフィルターを準備…。
エンジン回りのパーツは自動車と似ています
エンジン回りのパーツは自動車と似ていますね…。

ヘドロ状のエンジンオイル自家発
取り外したらヘドロ状のエンジンオイルが…。
新旧劣化具合が一目瞭然自家発フィルター
新旧を比べるとその劣化具合が一目瞭然でした…。

💯(´-`).。oO(この後、再度自家発を運転し…、、正常に動作してめでたしめでたし…!!)

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如何でしたでしょうか、ハッキリ言って本記事で紹介した自家発は満足にメンテナンスされていない状態でした。🔧💦

 

自家発電設備試験運転中
自家発電設備試験運転の様子…。

ただ、このような自家発が世の中には山ほどあるのだと思っていて、今回の法改正で“形だけ” であった自家発関係のメンテナンスが身のあるものに変わっていくのかなと思っています。🔩

 

これまでお客様の中では、追加コストを嫌って負荷運転試験を避ける方も中にはおられましたが、今回ばかりは所轄消防署の指導も厳しくなっています。👮❕

 

具体的な事例に、負荷運転試験をしていなければ消防用設備点検報告書受取りを拒否されたというケースもあったようです。💡

 

自家発のある防火対象物消防用設備点検もお任せ下さい。📝✨


まとめ


  • 地上に設置され、かつ水源も確保できたことから水中にヒーターを入れて熱エネルギーを放出させる “湿式” にて自家発の負荷運転試験を行った。✅
  • 負荷運転開始十数分で、エンジン内に油がうまく回っていなかったことにより運転停止された。✅
  • 点検後の改修までがメンテナンスという事で、オイルとフィルターを全て交換して正常運転させた。✅

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コメント: 9
  • #1

    へぼ担当 (月曜日, 24 12月 2018 04:30)

    簡単に気付きを。
    当該のような非常時のみに作動する「自家発電設備」のメンテナンスが「年間委託契約」として結ばれることを、強く願っています。
    その上で当該のようなエンジン不具合(特にオイル周り)が起きたとき、エンジンオイル・オイルフィルタの交換は当然のことですが、可能な限り2度交換
    <つまり第一回で不具合を起こしたオイルを交換した後、ある程度エンジンを回す。
    そして、第一回で抜ききれなかったオイルや、各部分に付着していた汚れ他を第二回のオイル交換で対応し、中身のオイルや一般的な汚れを通常範囲で除去することをお勧めします。

    正直、自動車で一部行われている「エンジンフラッシング(エンジン洗浄)」は正直危険・不具合が多いので推奨しません。
    しかし、オイル不具合でエンジンが停止した場合、通常のエンジン運転で溜まっていた汚れが一度のエンジンオイル交換では抜ききれないため、第一回目は通常のオイルにて不具合除去・洗浄用オイルと割り切って直ぐに交換することを強くお勧めします。

  • #2

    へぼ担当 (月曜日, 24 12月 2018 04:43)

    通常のエンジンオイルによる洗浄では、
    可能ならば「エアラン(エンジンに燃料を供給せず、遮断した状態で行う:エンジン室内で燃焼させない)」
    として、船舶用エンジン級ならば「圧縮空気での空回転」を。
    一般のエンジンならば「セルモーターだけを回す」ことで対応できますが、セルモーター駆動では長時間エンジンを動かす事が出来ないため、この点は少し厄介ですね。

    「エアラン」を行う理由
    まずは「汚れたオイルを除去する」のが眼目であり、その際に燃焼させると「汚れたオイル」他の燃焼で却って状況が悪くなる可能性が高くなります。その上で「エンジンオイルを巡らせて、汚れ他を除去する」という方策と、
    「実際の運転状態(燃料を燃やした状態)で完璧を期する」という二段構えが取られる場合があります。
    何分「エンジンオイルがとんでもなく汚れて」いるのに、「燃料油が完璧か?」と言えば「ガソリンが腐る」例えを考えれば、軽油燃料の劣化も同時に配慮する必要性が分かりやすいかと考えます。

    その上で、エンジンも暖機運転無しにフル稼働では当然傷みますし、
    一方で「エンジンをアイドリング状態だけで長時間動かせば、カーボン(スス)の付着」で却って良くない。
    ならば「エアラン」でエンジンオイルだけでも回して、汚れを除去する
    (その上でエンジンオイル交換を行う)
    という方策もご検討頂ければ幸いです
    (詳細はメーカーへの技術支援他を仰いでも良いかも知れません。)

    <ただ、エンジンオイル交換は取りあげられていましたが、それでは同様に傷んでいても不思議ではない「燃料油(恐らく軽油?)の交換」が取りあげられていなかったことに、少し心配を感じましたので。

  • #3

    管理人 (火曜日, 25 12月 2018 14:27)

    >へぼ担当さん
    ご無沙汰しております、こちらにコメント頂けて大変嬉しく思います!

    以前も、自家発を含む消防用設備全般の年間契約でのメンテナンスがベストであるというお話がありましたね。
    定期的に交換することがトラブルや機器の寿命を考えるとベストであるという件もありますから、この辺りはお客様への営業と言いますか、提案が大事かと思っています。

    また、ご賢察の通り、今回エンジンのかかりが悪かったのでフラッシングするかどうかという話も出ておりました。
    しかし、オイルでの共洗いといいますか、軽油を2回交換することは考えておりませんでしたので、大変勉強になります。
    ありがたいです!

    セルモーター駆動の為、長時間エンジンを動かせないというのも今回のメンテナンスの際に何度も起動・停止をしていて厄介であった点で、バッテリーが充電されるまで待つ…という時間も発生していました。

    そして、軽油の交換ですが、これは写真で見切れてしまっていますがちゃんと交換しております。
    元々あった軽油の色も相当変わっていましたから、これは要交換であったと思っています。

    市あごに、エンジンのアイドリング(空ぶかし)によって、煤が溜まる事によって有事の際に自家発が動かなくなっているのではないかという問題も自家発の法改正前後で話されており、点検の際は無負荷運転でなく、疑似負荷や実負荷を加えて負荷試験しましょうということになっていました。

    総括すると、ご指摘は全て的を得ていて、流石です…恐縮です。と言った具合になります。

  • #4

    へぼ担当 (水曜日, 26 12月 2018 00:16)

    管理人様
    ご無沙汰しまして申し訳ありません。
    以上は「全て実体験(酷い目に遭った…)」というオチがついているもの。
    よって「教訓事項・ノウハウ」として引き継いでいるもので、大した物では有りません(別名:失敗録)。

    この中で通常困難なのは「エアラン」ですね。
    船舶転用エンジンのようなものならば数分単位で回し続ける事が出来るため、十分な効果が期待できますが、通常のセルモーターならば
    「モーターが焼ける・急速充電でも時間がかかる上、限界がある」
    というところですが、セルモーターやバッテリーの健全性を確認しながら行うのが通例です。

    <ここまで酷いと「バッテリーの劣化」も考慮に入れ、(エアラン等メンテナンスが必要な場合は)試験・作業用のバッテリーの準備や、後ほど「(本設)バッテリーの健全性確認と交換推奨」を行った方が良いですね。

    ご指摘通り「非常用発電機」でもっとも避けるべきは
    「長時間のアイドリングによるカーボンの蓄積(結果的にオイル劣化や機器の損傷を加速する)」
    ことであり、「エアラン」の優位性は
    「オイル周り不具合からのカーボン付着(痛んだオイル・燃料油が燃えるとダメージ蓄積)」
    という点にあります。

    その他、非常用発電機の健全性確認はどうやって居るのだろうか、と心配になりますが、
    可能ならばフルパワー30分以上が目安とは「某メーカー」見解。
    (フルパワーで凡そ30分有れば、溜まったカーボンでも「燃えてくれるものは燃える」そうです。<逆にそれ以上やっても燃える量は増えずに飽和。)

    ただし、その電力を消費できなければ実現できませんので、実負荷(消防ポンプ他)の試験運転と同時に行うか、今回のような湿式ヒーターでの放熱(廃熱)など、
    少しでも有効に、一定以上の負荷が取れれば、と思うところです。

    今後ともどうかよろしくお願いします。

  • #5

    管理人 (水曜日, 26 12月 2018 17:01)

    >へぼ担当さま
    実体験からの一次情報ほど価値があります、大変有り難い思いです。

    現行の負荷試験の法令上、実負荷の30%以上で適切な時間回すという事が定められていますから、なかなかフルパワーで回してやる機会が無いかもしれません。
    以下に適切に、かつ効果的なメンテナンスが実現できるかを考え、実施していきたい思いです。

    こちらこそ、今後ともどうぞよろしくお願い致します!

  • #6

    とおりすがりの電気屋 (土曜日, 29 12月 2018 07:59)

    個人で高圧電気設備の管理業をやっています。たまたま仲間内で非常用発電機のメンテについて話題になりました。
    というのは電気屋さんも非常用発電機の点検が義務?づけられていて、電気の点検の度に試運転をしたりしています。
    その中にバッテリーがヘタって起動しないところがあるのですが、強制力を持って整備をお客様に命令?するのは防災やさんですよね。
    私はそう思っているのですが電気屋さんの立場がイマイチわかりません。防災やさんからすれば電気屋は余計なことをしていますか?

  • #7

    管理人 (土曜日, 29 12月 2018 09:02)

    >とおりすがりの電気屋さん
    コメントありがとうございます!消防用設備用の自家発だとして話を進めさせて頂きますね。

    仰る通り、その建物に選任された電気主任技術者さんにも定期メンテの法的義務が生じていることと思います。こちらはあまり深入りしたことがないのですが、建物によって保安規定が定められていますよね。

    勿論我々も自家発の定期点検はしておりまして、例えばバッテリーがヘタっていたら点検報告書で不良個所に挙げています。つまり、お客様もその不備については知っております。強制力を持って指導するのはどちらかと言うと所轄消防署ですね。実際に立入検査などがあれば、点検報告書の不良は真っ先に確認されますし、改善報告命令も出ます。

    ただ、定期メンテの頻度に関して言えば、我々は多くて6ヶ月に1度建物に出入するのみですから、月1もしくは2ヶ月に1度点検に入る電気主任技術者の方に、例えば蓄電池の蒸留水補充などはできればして頂けるとバッテリーの持ちがよくなるのにな…とは思っています。これも、現場によってなされているところとそうでないところがあり『あ、ここ電気主任技術者の方やってくれてないパターンか…。』との声も…。

    よって、より短いスパンで現場入りされている電気主任技術者の方が異常に遭遇する確率が高いですから、それを消防用設備点検が入る前にお客様にお伝えしてもらっても何ら差し支えないですし、むしろサービスの質としては良いと思います。

    自家発は関係法令が沢山ありますから、責任の擦り付け合いみたいになってしまっている状態が正直あると思います。
    しかし“余計な事”の言い方を変えれば付加価値のあるサービスとも捉えられるかと。
    あと、このように電気主任技術者と消防設備士がコミュニケーションすることも、とても重要だと常々思っております。
    今後とも宜しくお願い致します。

  • #8

    とおりすがりの電気屋 (土曜日, 29 12月 2018 09:35)

    早速のコメントありがとうございます。こういうレスポンスの良い所にお願いしたいですね。

    私らの担当する発電機は消火栓ポンプ専用などが多いのですが、メンテ業者のメンテ料は高いですね。
    とある発電機のクーラント保温ヒーターが絶縁不良になりました。こういう場面は得意なのですが物がものだけにてを出さないことにしてお客さまよりメンテ業者に見積を取っていただきました。
    悪いのはヒーターととりあえず確定しております。わたしはヒーター代数千円、工賃・足代高くても5万円位かなと思っていましたが出てきた見積は「にじゅうまん」でした。
    こんな物ですかね。

  • #9

    管理人 (土曜日, 29 12月 2018 14:19)

    >消防用設備関連ってアンタッチャブルなイメージを持たれていることが多いですよね。
    消防法という絶対的な規則を元に、有資格者が業務をすれば何の問題もないのですが…。

    そして費用面につきましては、“業者による”の一言に尽きるかと思います。
    ただ、大きいところがメインで入っていると、建設業界は多重下請け構造ですからミルフィーユのようにマージンが乗って最終お客様に届く値段がとんでもない事になってしまっている、という現象には遭遇したことがあります。
    以前、某所で某設備の見積りを一般乗用車ほどの値段で出したのですが、いざ決裁後の会議に参加するとなった時に次々と間に入っている見知らぬ会社の方が同席され、会議中で発表された価格が高級外車くらいになっていたのには驚きました。笑
    こういうの無くなったらお客様にとって得なのに…という思いもあり、このようなページやらで直接情報を採って頂けるよう発信しているわけでございます。
    現状、こんなもんです。