第3 水源


水源は、令第11条第3項第1号ハ、第2号イ(4)、第2号ロ(4)及び規則第12条第1項第9号並びに条例第39条第3項の規定によるほか、次による。 

1 種類


(1) 水源は、地上若しくは床上水槽(水源の水位がポンプの位置以上にある水槽をいう。以下同じ。)、地下若しくは床下水槽(水源の水位がポンプより低い位置にある水槽をいう。以下同じ。)、高架水槽若しくは圧力水槽、空調用蓄熱槽(建築物の基礎部分を利用して、空調用の冷温水を蓄えるための水槽をいう。以下同じ。)で水源の水質を原則上水道水とするもの(以下「水槽等」という。)又は河川、池若しくは海(以下「自然水利」という。)とすること。ただし、空調用蓄熱槽を用いる場合は、当該空調用蓄熱槽に係る空調設備の機能に影響を及ぼさないようにするための措置が講じられていること 。

 

(2) 水温は、おおむね40度以下のものであること 。

2 水量


(1) 有効水量の算定方法は、次によること。

  • ア 水槽等のうち、地上又は床上水槽、高架水槽若しくは空調用蓄熱槽を用いる場合は、当該水槽等に設ける吸水口又は送水口(以下「吸水口等」という。)の上端から、当該吸水管又は送水管の内径の1.65倍以上上部の位置から貯水面までの量とすること。この場合において、水槽下部に吸水口等から水槽の底部まで15センチメートル以上の沈殿物の溜まり部分を設けること。ただし、吸水口等又はその直近にろ過装置を附置する場合はこの限りでない。なお、ポンプを用いる加圧送水装置の吸水管のうち、吸水口から水槽の底部まで15センチメートル以上の沈殿物の溜まり部分を設けた場合については、規則第12条第1項第6号ハ(ロ)に規定するろ過装置を設けないことができるものとする(図1-2-1)。
地上又は床上水槽、高架水槽若しくは空調用蓄熱槽を用いるもの  消火
図1-2-1 地上又は床上水槽、高架水槽若しくは空調用蓄熱槽を用いるもの
  • イ 水槽等のうち、圧力水槽を用いる場合は、当該水槽等に設ける吸水口の上端から貯水面までの量とすること 。
  • ウ 水槽等のうち、地下又は床下水槽若しくは空調用蓄熱槽を用いる場合は、ポンプの吸水管に設けられたフート弁の弁シート面から、当該吸水管の内径の1.65倍以上上部の位置(水中ポンプにあっては、ポンプストレーナーから10センチメートル以上の位置)から貯水面での量とすること。この場合において、底部にサクションピットを設ける構造のものにあっては、図1-2-2に示す関係寸法以上のものとすること 
サクションピットを設ける場合
サクションピットを設ける場合
サクションピットを設ける場合
サクションピットを設ける場合

地下又は床下水槽若しくは空調用蓄熱槽を用いる消火水槽
サクションピットを設けない場合
  • エ 2以上の水槽に連通管を設けて使用する構造のものにあっては、各槽ごとに水位差が生じるため、(ア)及び(イ)の計算式により水位差及び連通管断面積を求めて有効水量を算出すること(図1-2-3)

 

(ア) 連通管の寸法を次式により算出した数値(連通管を2以上設けるものは、その合計値)以上とすること 。

 

 

(イ) 水位差の寸法は次式により算出すること。

  • A :連通管断面積 (平方メートル)
  • D’:連通管内径  (メートル)
  • Q :流量     (立方メートル毎秒)
  • g :重力加速度  (9.8メートル毎秒毎秒)
  • H :水位差    (メートル)
サクションピットを設ける場合 2以上の水槽に連通管を設けて使用する構造
サクションピットを設ける場合
サクションピットを設けない場合  2以上の水槽に連通管を設けて使用する構造
サクションピットを設けない場合

※水位差 H:必要水量が連通管を通過するために要する水頭(落差)

 

  • オ サクションピット内に2以上の消防用設備等のフート弁を設ける場合は、各フート弁の相互間距離は大なる吸水管の内径以上とすること 。

 

(2) 放水量の異なる屋内消火栓を併設する場合の規定水量は、それぞれ次によること 

  • ア 1号消火栓と2号消火栓を併設する場合にあっては、次により求めた量以上の水量とすること 

(ア) 同一階において、1号消火栓が相互に隣接して設けられる場合は5.2立方メートル(図1-2-4)

 同一階において、1号消火栓が相互に隣接して設けられる場合
図1-2-4  同一階において、1号消火栓が相互に隣接して設けられる場合

(イ) 同一階において、1号消火栓と2号消火栓が相互に隣接して設けられる場合は3.8立方メートル(図1-2-5)

同一階において、1号消火栓と2号消火栓が相互に隣接して設けられる場合
図1-2-5 同一階において、1号消火栓と2号消火栓が相互に隣接して設けられる場合

(ウ) 同一階の設置個数が2以上であり、 (ア)及び(イ)以外の場合は2.6立方メートル(図1-2-6)

同一階の設置個数が2以上であり、 (ア)及び(イ)以外の場合
図1-2-6 同一階の設置個数が2以上であり、 (ア)及び(イ)以外の場合

(エ) 地階を除く階数が5以上の防火対象物で、かつ、各階の設置個数が1であるもので、1号消火栓が設けられる階の直下階に1号消火栓が設けられる場合は、5.2立方メートル。それ以外の場合は3.8立方メートル。

  • イ 1号消火栓と広範囲型2号消火栓を併設する場合にあっては、次により求めた量以上の水量とすること 

(ア) 同一階において、1号消火栓が相互に隣接して設けられる場合は5.2立方メートル(図1-2-7) 

 

同一階において、1号消火栓が相互に隣接して設けられる場合
図1-2-7 同一階において、1号消火栓が相互に隣接して設けられる場合

(ウ) (ア)及び(イ)以外で、同一階の設置個数が2以上であり、広範囲型2号消火栓が相互に隣接して設けられる場合は、3.2立方メートル(図1-2-9) 

同一階の設置個数が2以上であり、広範囲型2号消火栓が相 互に隣接して設けられる場合
図1-2-9 同一階の設置個数が2以上であり、広範囲型2号消火栓が相 互に隣接して設けられる場合

(エ) 同一階の設置個数が2以上であり、(ア)、(イ)及び(ウ)以外の場合は2.6立方メートル(図1-2-10) 

同一階の設置個数が2以上であり、(ア)、(イ)及び(ウ)以外の場合
図1-2-10 同一階の設置個数が2以上であり、(ア)、(イ)及び(ウ)以外の場合

(オ) 地階を除く階数が5以上の防火対象物で、かつ、各階の設置個数が1であるもので、1号消火栓が設けられる階の直下階に1号消火栓が設けられる場合は、5.2立方メートル。それ以外の場合は4.2立方メートル

  • ウ 2号消火栓と広範囲型2号消火栓を併設する場合にあっては、次により求めた量以上の水量とすること 

(ア)  同一階において、広範囲2号消火栓が相互に隣接して設けられる場合は3.2立方 メートル(図1-2-11) 

 同一階において、広範囲2号消火栓が相互に隣接して設けられる場合
図1-2-11 同一階において、広範囲2号消火栓が相互に隣接して設けられる場合

(イ)  同一階において、2号消火栓と広範囲型2号消火栓が相互に隣接して設けられる 場合は2.8立方メートル(図1-2-12)

同一階において、2号消火栓と広範囲型2号消火栓が相互に隣接して設けられる場合
図1-2-12 同一階において、2号消火栓と広範囲型2号消火栓が相互に隣接して設けられる場合

(ウ)  (ア)及び(イ)以外で、同一階の設置個数が2以上であり、2号消火栓が相互に隣接 して設けられる場合は、2.4立方メートル(図1-2-13)

同一階の設置個数が2以上であり、2号消火栓が相互に隣接 して設けられる場合
図1-2-13 同一階の設置個数が2以上であり、2号消火栓が相互に隣接 して設けられる場合

(エ) 同一階の設置個数が2以上であり、(ア)、(イ)及び(ウ)以外の場合は1.6立方メートル(図1-2-14)

同一階の設置個数が2以上であり、(ア)、(イ)及び(ウ)以外の場合
図1-2―14 同一階の設置個数が2以上であり、(ア)、(イ)及び(ウ)以外の場合

(オ) 地階を除く階数が5以上の防火対象物で、かつ、各階の設置個数が1であるもので、広範囲型2号消火栓が設けられる階の直下階に広範囲型2号消火栓が設けられる場合は、3.2立方メートル。それ以外の場合は2.8立方メートル。

 

(3) 他の消火設備又は消防用水の水源と兼用する場合の規定水量は、次によること 

  • ア 屋内消火栓設置階に水源を兼用する他の消火設備を設置する場合は、屋内消火栓設備の規定水量に当該他の消火設備の規定水量を加算した量以上の量とすること
  • イ 屋内消火栓設置階以外の階に水源を兼用する他の消火設備を設置する場合は、当該各消火設備のうち規定水量の最も大なるものの1.5倍以上の量又はアに準じた量とすること◆
  • ウ 消防用水として必要な量は、消火栓ポンプのフート弁(水源の水位がポンプより高い位置にある場合は、吸水管又は送水管の吸水口等)の下部において得られるものとすること◆
  • エ 中間水槽と兼用する場合は、各消火設備等の規定水量のうち、最大水量以上の量とすること◆ 

(4) 一般設備の水源と兼用する場合の水量は、設置する加圧送水装置の種類に応じ次によること◆ 

  • ア ポンプ方式にあっては、その状況に応じ次のいずれかの水量を有効水量とすること 

(ア) 水源の水位がポンプより低い位置にある場合は、消火栓ポンプのフート弁の上部に一般設備のポンプのフート弁を設置した場合の落差水量(図1-2-15)

水源の水位がポンプより低い位置にある場合の有効水量
図1-2-15 水源の水位がポンプより低い位置にある場合の有効水量

(イ) (ア)以外の場合にあっては、消火栓ポンプの吸水口(水中ポンプにあっては吸込口)の上部に一般設備のポンプの吸水口を設置した場合の落差水量(図1-2-16)

(ア)以外の場合の有効水量 
図1-2-16  (ア)以外の場合の有効水量

(ウ) 電極の作動と連動して自動的に他のポンプの運転停止が行えるとした場合の、消火栓ポンプのフート弁と電極との間の落差水量(図1-2-17)

電極の作動と連動して自動的に他のポンプの運転停止が行えるとした場合
図1-2-17  電極の作動と連動して自動的に他のポンプの運転停止が行えるとした場合

イ 高架水槽方式又は圧力水槽方式にあっては、消火栓配管の送水口の上部に一般設備の配管の送水口を設け、この間の落差水量を有効水量とすること(図1-2-18)

般設備の水源と兼用する高架水槽方式又は圧力水槽方式の有効水量
図1-2-18  一般設備の水源と兼用する高架水槽方式又は圧力水槽方式の有効水量

(5) 自然水利は四季を通じて規定水量が確保できるものであり、また水槽等はボールタップ等により常時規定水量が確保できる構造とし、必要に応じ通気口等を設けること。

 

3 水槽等の材質◆


(1) 水槽等は、コンクリート又は鋼板等の不燃材料(建基法第2条第9号に規定する不燃材料をいう。以下同じ。)で造ること。ただし、不燃専用室(不燃材料で区画された機械換気設備の機械室、ポンプ室等で、火災の発生のおそれのある設備又は機器等が設置されていないものをいう。以下同じ。)若しくは不燃材料で有効に遮蔽されている場所又は屋外(主要構造部(建基法第2条第5号に規定する主要構造部をいう。以下同じ。)を耐火構造(建基法第2条第7号に規定する耐火構造をいう。以下同じ。)とした建築物の屋上を含む。)に設ける場合で、隣接する建築物若しくは工作物(以下「建築物等」という。)から3メートル以上の距離を有するとき又は3メートル未満の範囲の隣接する建築物等の部分が不燃材料で造られ、かつ、当該建築物等の開口部に防火戸(建基法第2条第9号の2ロに規定する防火設備であるものに限る。以下同じ。)が設けられているときは、ガラス繊維強化プラスチックで造られたものとすることができる。 

 

 

(2) 腐食のおそれのあるものについては、有効な防食のための措置を講じること。