第5 配管


配管は、規則第12条第1項第6号、第9号及び第2項第2号並びに第3項第1号の規定によるほか、次によること。なお、ステンレス鋼管を用いた配管等の施工については、「ステンレス鋼管を用いた配管及び管継手の施工に当たっての留意事項について」(平成19年1月

17日付け消防予第11号。消防庁予防課長通知)によること 。

1 充水措置


(1) 配管は、自動給水装置を設けたおおむね0.1から0.2立方メートル以上(他の消防用設備等と兼用する場合は0.2立方メートル以上)の有効水量を有する補助高架水槽又は補助ポンプ等により、常時充水しておくことができるもの(いわゆる湿式)とすること。

ただし、加圧送水装置から最遠の屋内消火栓までの配管長さが10メートル以下であり、かつ、当該配管径が管の呼びで50ミリメートル以下のものにあっては、この限りでない。

 

(2) (1)の補助高架水槽の下流側直近又は補助ポンプの吐出側直近には、止水弁及び逆止弁を設けること 。

 

(3) 補助ポンプを用いる場合で、当該装置の締切圧力がポンプの締切揚程より大きい場合にあっては、圧力上昇を制限できるものとし、屋内消火栓設備の性能に支障を及ぼさないものとすること 。

 

2 配管の接続


1の防火対象物に2以上の加圧送水装置の系統で配管する場合は、それぞれの系統の配管を相互に接続すること。ただし、第4.3.(1)の圧力調整措置を講じているものにあっては、この限りでない。 

3 管径


配管の管径は、設置箇所に応じ次による。 

(1) 主配管のうち、立上り管以外の配管にあっても、その受け持つ流水量に応じ、次によること。 

その管の受け持つ流水量(ℓ/min)  管の呼び(mm) 
60 以 上   32 以 上
80 〃   40 〃
190 〃  50 〃 

(2) 1.(1)の補助高架水槽に接続する配管は、管の呼びで40ミリメートル以上のものとすること。ただし、2号消火栓及び広範囲2号消火栓の接続配管にあっては管の呼びで32ミリメートル以上のものとすることができる。

4 配管の耐震措置


(1) ポンプ(コンクリート等の固定床に直接設置されるものに限る。)の周辺配管には、可とう管継手を次により、設けること 。

  • ア 可とう管継手は、可とう管継手の基準に適合するものとすること。なお、認定を受けたものについては、当該基準に適合するものとして取り扱って差し支えないこと。
  • イ 可とう管継手は、ポンプの一次側及び二次側に設けるとともに、その二次側配管(吸水管に設けるものにあっては一次側配管)を、建築物の床等に支持させて固定すること(図1-2-23)。ただし、呼水管及び水温上昇防止用逃し管で、ポンプと同一の架台に設置されるもの並びに吸水管及び性能試験用配管でポンプの震動に追従して可動するものにあっては、可とう管継手を設けないことができる。
可撓 とう 管継手は、ポンプの一次側及び二次側に設けるとともに、その二次側配管(吸 水管に設けるものにあっては一次側配管)を、建築物の床等に支持させて固定
図1-2-23

* イ、ロ及びハ:支持金具等により建築物に固定する。 

* 放水圧力調整用の配管を設置する場合は、性能試験用配管の設置方法に準じて措置すること。

(2) 立上り管は、地震による管軸直角方向の過大な変形を抑制し、かつ、建築物の層間変位に追従するよう耐震支持を行うこと 。

 

(3) 立上り管及び横引き管は、地震時に他の建築設備や機器等と接触、衝突しないように、周囲に空間を確保すること 。

 

(4) 横引き管は、地震による管軸直角方向の過大な変位を抑制するよう耐震支持を行うこと 。

 

(5) 吸水管の位置が水槽壁面に近接する場合は、震動によりフート弁が壁面に接触することのないよう耐震支持を行うこと 。

 

(6) エキスパンションジョイント部分を通過する配管は、建築物の間の地震時の揺れ方の違いによる相対変位を吸収できるように、フレキシブル管を用いるなど可とう性を有するものとすること 。

 

(7) 屋外から建築物内へ導入する配管は、地盤や外部支持部と建築物の間の揺れ方の違いによる相対変位を吸収できるように、フレキシブル管を用いるなど可とう性を有するものとすること。

5 配管の凍結防止措置


配管(加圧送水装置を含む。)のうち、その設置場所によって凍結のおそれがあるものについては、凍結防止措置を講じること 。

6 配管の腐食防止措置


配管のうち、地中に埋設される部分については、有効な腐食防止措置を講じること。

7 配管の兼用


配管は、屋外消火栓設備又は加圧送水装置を用いない連結送水管と兼用することができる。この場合において、設計送水圧力が1メガパスカルを超える連結送水管と兼用するときは、規則第31条第1項第5号ロの規定によるほか、次による。ただし、(2)の逆止弁の一次側の部分にあってはこの限りでない。 

 

(1) 消火栓開閉弁は、減圧機構付のもので、かつ、最高使用圧力が1.6メガパスカル以上のものとすること 。

 

(2) 連結送水管からの送水圧力がポンプに影響を及ぼさないよう、ポンプ吐出側に連結送水管の基準(第3.8)に適合する逆止弁を設けること 。

8 合成樹脂製の管及び管継手の設置


次のいずれかに該当するものは、合成樹脂製の管及び管継手の基準(平成13年消防庁告示第19号。以下「合成樹脂管等の基準」という。)第3第4号に規定する「火災時に熱を受けるおそれがある部分に設けられるもの」には該当しないものとすることができる。 

 

(1) 自動的に起動し、消火を行うことのできる設備が設置されている部分で、次のいずれかに該当するもの 。

  • ア 準不燃材料(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号。以下「建基令」という。)第1条第5号に規定する準不燃材料をいう。以下同じ。)で造られた天井裏等の隠蔽部分に設けられているもので、火災時の炎及び熱から有効に防護されているもの。
  • イ 配管等に巻かれた50ミリメートル以上の厚みのロックウールによる被覆等により、火災時の炎及び熱から有効に防護されているもの 。

(2) 第12.4又は5に該当する部分で、かつ、準不燃材料で造られた天井裏等の隠蔽部分(湿式の配管に限る。) 。

9 金属製の管継手及びバルブ類の設置


次のいずれかに該当するものは、金属製バルブ類等の基準第3第3号に規定する「火災時に熱による著しい損傷を受けるおそれがある部分」には該当しないものとすることができる。 

 

(1) 準不燃材料で造られた天井裏等の隠蔽部分に設けられているもので、火災時の炎及び熱から有効に防護されているもの 。

 

(2) 配管等に巻かれた50mm以上の厚みのロックウールによる被覆等により、火災時の炎及び熱から有効に防護されているもの 。

 

(3) 自動式の消火設備に用いるものであって、鋳鉄製、黄銅製、ステンレス鋼製、ダクタイル鋳鉄製のもの等、その材質や寸法により、規則第12条第1項第6号ホ(イ)又は同号ト(イ)及び(ロ)において使用が認められているものと同等以上の耐熱性を有していると認められるもの(接合部に可燃性のパッキン又はガスケットを用いるものにあっては湿式の配管に限る。) 。

10 バルブ類の表示


配管に設けるバルブ類のうち、常時閉止状態にあるものには「常時閉」、常時開放状態にあるものには「常時開」の表示を行うものとする。