第12 特例基準


屋内消火栓設備を設置しなければならない防火対象物又はその部分のうち、次のいずれかに該当するものについては、令第32条又は条例第47条の規定を適用し、それぞれ当該各項に定めるところによる。

 

1 次に掲げる防火対象物又はその部分のうち、不燃材料で造られており、かつ、出火の危険がないと認められるもの又は出火若しくは延焼のおそれが著しく少ないと認められるものについては、屋内消火栓設備を設置しないことができる。 

  • (1) 倉庫等で、不燃性の物品のみを収納するもの
  • (2) 浄水場又は汚水処理場等で、内部の設備が水管、貯水池又は貯水槽のみであるもの
  • (3) サイダー・ジュース工場その他これらに類するもの
  • (4) 不燃性の金属、石材等の加工工場で、可燃性の物品を収容又は取り扱わないもの
  • (5) プール又はスケートリンク(滑走部分に限る。)
  • (6) 発電設備、変電設備等の電気設備又は金属溶解設備等屋内消火栓設備による注水によっては、消火不能又は消火困難と認められる設備のある場所 

2 仮設建築物のうち次に該当するものについては、屋内消火栓設備を設置しないことができる。 

  • (1) 存続期間が6カ月以内であること
  • (2) 火災時に容易に避難できると認められる位置及び構造形態であること
  • (3) 火災を早期に発見し、かつ、報知することができる措置が講じられていること
  • (4) 初期消火のための措置が講じられていること 

3 車両の停車場のプラットホーム部分のうち、長辺方向の1面以上が直接外気に開放されているもので、かつ、売店その他の物品販売店舗、飲食店、駅務室又は待合室(準不燃材料で造られ、かつ、椅子等のほかに可燃物が存しないものを除く。)その他これらに類するものが存する部分以外の部分で、次のいずれかに該当する場合は、それぞれ当該各号に定めるところによる。 

  • (1) 壁、柱、はり、屋根及び天井が準不燃材料で造られ、かつ、少数の椅子等のほかに可燃物が存しないものについては、屋内消火栓の防護の対象としないことができる。
  • (2) (1)以外のもので、当該プラットホーム部分に設置した屋内消火栓箱内に、その全ての部分に有効に注水することができるホースを設けている場合は、令第11条第3項第1号イ、第2号イ(1)又はロ(1)の規定は適用しないことができる。 

4 防火対象物の浴室、シャワー室、便所、洗面所その他これらに類する部分については、屋内消火栓設備を設置しないことができる。 

 

5 主要構造部が耐火構造である防火対象物のエレベーターの昇降路、パイプシャフトその他これらに類する部分については、屋内消火栓設備を設置しないことができる。 

 

6 主要構造部が耐火構造である防火対象物の階のうち、エレベーター機械室、ポンプ室、受水槽室その他これらに類する用途のみが存する階で、直上階又は直下階の屋内消火栓により有効に注水することができる場合にあっては、当該階に屋内消火栓設備を設置しないことができる。 

 

7 安全センターに設けられたガス系消火設備等評価委員会の評価を受けた不活性ガス消火設備及びハロゲン化物消火設備が設置された防火対象物の当該設備の有効範囲内の部分については、屋内消火栓設備を設置しないことができる。 

 

8 スキップフロア型又はメゾネット型の共同住宅において、ホース接続口を次により設置する場合は、令第11条第3項第1号イ、第2号イ(1)又はロ(1)の規定によらないことができる。 

  • (1) ホース接続口は、廊下階の階段室、非常用エレベーターの乗降ロビー等で操作に支障のない位置に設けること
  • (2) 当該防火対象物の各部分から、1のホース接続口までの歩行距離が1号消火栓又は広範囲型2号消火栓にあっては25メートル以下、2号消火栓にあっては15メートル以下であること 

9 次に適合する場所に設置する2号消火栓にあっては、令第11条第3項第2号イ(1)の規定にかかわらず、当該場所の各部分から1のホース接続口までの水平距離が25メートル以下となるよう設けることで足りるものとする。 

  • (1) ロビー、ホール、ダンスフロア、リハビリ室、体育館、講堂、その他これらに類する場所であること
  • (2) 壁及び天井(天井のない場合にあっては、屋根)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを準不燃材料でしたものであること
  • (3) 可燃物の集積量が少ないこと
  • (4) 放水障害となる間仕切り又は壁が設けられていないこと
  • (5) 屋内消火栓のホースを直線的に延長できること 

10 次に適合する令別表第1(5)項ロに掲げる防火対象物又はその部分に設置する2号消火栓にあっては、令第11条第3項第2号イ(1)の規定にかかわらず、当該防火対象物の各部分から1のホース接続口までの水平距離が20メートル以下となるよう設けることで足りるものとする。 

  • (1) 主要構造部が耐火構造であること
  • (2) 共用部分には、令第11条第3項第2号イ(1)の規定により設置されていること
  • (3) 令第11条第3項第2号イ(1)の規定により設置する場合に生じる未警戒部分は、直近の2号消火栓からのホース延長により有効に消火できること

11 冷凍倉庫又は冷蔵倉庫(零度以下の温度で物品を貯蔵し、又は保管する冷凍室又は冷蔵室部分に限る。以下この項において「冷凍室等」という。)に設置する1号消火栓にあっては、令第11条第3項第1号イの規定にかかわらず、次のいずれかによることができる。

 

(1) 冷凍室等の各部分から1のホース接続口までの水平距離(次号において「水平距離」という。)が、40m以下となる場合は、次に適合すること 。

  • ア 1号消火栓には、冷凍室等の各部分から1のホース接続口に至る歩行距離以上の合計長さとなるようホースを設けること
  • イ アのホースを全て延長した場合に、ノズル先端において、放水圧力が0.17メガパスカル以上で、かつ、放水量が130リットル毎分以上の性能を有するものであること 

(2) 水平距離が、40メートルを超える場合は、次に適合すること 

  • ア 1号消火栓には、冷凍室等の各部分から1のホース接続口に至る歩行距離以上の合計長さとなるようホースを設けること
  • イ アのホースを全て延長した場合に、ノズル先端において、放水圧力が0.25メガパスカル以上で、かつ、放水量が350リットル毎分以上の性能を有するものであること
  • ウ 消火栓開閉弁、ホース及び筒先の構造は、屋外消火栓設備の基準(第6.2並びに第7.1及び2)に適合するものであること
  • エ 加圧送水装置は、規則第22条第10号ハ及びニの規定の例によること
  • オ 水源は、令第19条第3項第3号の規定の例によること 

12 外気に開放されており、建基法上床面積に算入されないバルコニーで、可燃物の存置が少ないと認められるものについては屋内消火栓の包含範囲としないことができる。 

 

13 高圧ガス保安法(昭和26年法律第204号)の適用を受けるガス充てん所(液化石油ガス又は可燃性ガスの容器(車両に固定した燃料容器を含む。以下同じ。)への充てんを行う防火対象物をいう。以下同じ。)の製造施設(液化石油ガス又は可燃性ガスの製造設備、貯蔵設備、処理設備等を有する建築物その他の工作物をいう。以下同じ。)のうち、液化石油ガスの製造設備が液化石油ガス保安規則(昭和41年通商産業省令第52号。以下「液石則」という。)第2条第1項第21号の第一種製造設備、同項第22号の第一種製造設備及び同項第20号の液化石油ガススタンドに該当するもので、次に適合するものについては屋内消火栓設備を設置しないことができる。 

  • (1) 液石則第6条から第8条までの規定に適合すること
  • (2) 製造施設の主要構造部が不燃材料で造られていること
  • (3) 製造施設の壁及び天井の仕上げが不燃材料又は準不燃材料であること
  • (4) 製造施設において火気の使用がない等、火気管理が徹底していること
  • (5) 製造施設においては、整理・清掃、不必要な物品の除去、可燃物の存置がなく、出入りする者の管理等、適正な維持管理が行われていること 

14 ガス充てん所の製造施設のうち、可燃性ガスの製造設備が一般高圧ガス保安規則(昭和41年通商産業省令第53号。以下「一般則」という。)第2条第1項第13号の定置式製造設備、同項第23号の圧縮天然ガススタンド若しくは同項第24号の液化天然ガススタンド又はコンビナート等保安規則(昭和61年通商産業省令第88号。以下「コンビ則」という。)第2条第1項第13号の製造設備、同項第14号の特定液化石油ガススタンド、同項第15号の圧縮天然ガススタンド若しくは同項第15号の2の液化天然ガススタンドに該当するもので、次に適合するものについては屋内消火栓設備を設置しないことができる。 

  • (1) 一般則にあっては第6条から第7条の2まで、コンビ則にあっては第5条から第7条の2までの規定に適合すること
  • (2) 13.(2)から(5)までに適合すること 

15 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備の基準(第14.14)に該当する防火対象物で、次に適合するものについては屋内消火栓設備を設置しないことができる。

  •  (1) 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備を設置しないこととする住宅部分を除いた基準面積(防火上有効な措置が講じられた構造を有するものとして規則第13条の5の2に規定する部分以外の部分の床面積の合計をいう。以下同じ。)が1,000平方メートル未満であること
  • (2) 主要構造部を耐火構造としたその他の防火対象物又は建基法第2条第9号の3イ若しくはロのいずれかに該当し、かつ、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料でした防火対象物であること 

16 消火器具の基準(第4.6)に適合するものについては、住戸ごとにそれぞれ別の防火対象物とみなし令第11条及び条例第39条の規定を適用することができる。