第4 構造類型告示


1 2方向避難型特定共同住宅等


構造類型告示第3に規定する「2方向避難型特定共同住宅等」については、それぞれ次によること。

 

(1) 構造類型告示第3第1号に規定する「避難上有効なバルコニー」とは次のアからウまでに定める基準に適合しているものであること 

  • ア 直接外気に開放されていること
  • イ 避難上支障のない幅員及び転落防止上有効な高さの手すり等を有していること。なお、車いす利用者等の避難を考慮した場合に、80センチメートルから90センチメートル程度の幅員を有していることが望ましいものであること
  • ウ 他の住戸等(住戸、共用室及び管理人室に限る。以下第4について同じ。)の避難上有効なバルコニー又は階段室等に接続されていること、若しくは避難器具(避難器具用ハッチに格納された金属製避難はしご、救助袋に限る。)が設置されていること 

(2) 構造類型告示第3第2号(1)に規定する「階段室等は、廊下の端部又は廊下の端部に接する住戸等の主たる出入口に面している。」とは、階段室等が廊下の端部に面して設けられていることをいうほか、図8-7-16の例に示すように、階段室等が廊下の端部に接する住戸等(ここでは住戸Aを指す。)の主たる出入口に面していることを指すものであること。これは、廊下の端部に接する住戸等に隣接する住戸等(ここでは住戸Bを指す。)が火災になっても、住戸Aの居住者が階段Aを使って避難できるようにするため、Wは廊下の端部に接する住戸等(ここでは住戸Aを指す。)の幅以下とするものであること。この場合、階段Aの入口(降り口)が住戸Aに面していることが必要であること。

階段室等が廊下の端部に接する住戸等の主たる出入口に面している様子
図8-7-16 階段室等が廊下の端部に接する住戸等の主たる出入口に面している様子

(3) 構造類型告示第3第2号(5)に規定する「避難経路」とは、それぞれ次による。 

  • ア 次の①から⑤までに定める部分は「避難経路」として、利用できないものであること。なお、適用例を図8-7-17から図8-7-19までに示す。  

① 火災住戸等

 

② 構造類型告示第4第2号(1)、(2)及び(4)に規定する開放型の廊下の判断基準に適合する廊下にあっては、火災住戸等の主たる出入口が面する火災住戸等の幅員に相当する部分

 

③ 構造類型告示第4第2号(1)、(2)及び(4)に規定する開放型の廊下の判断基準に適合しない廊下にあっては、階段室等の出入口から1の住戸等の幅員に相当する部分以外の部分

 

④ 階段室型の特定共同住宅等に存する火災住戸等の主たる出入口が面する階段室等 

 

⑤ 火災住戸等のバルコニー

「避難経路」として利用できないものの適用例
図8-7-17  「避難経路」として利用できないものの適用例

「避難経路」として利用できないものの適用例
図8-7-18 「避難経路」として利用できないものの適用例
「避難経路」として利用できないものの適用例
図8-7-19 「避難経路」として利用できないものの適用例
  • イ 避難階における「避難経路」は、図8-7-20に示す例によるものであること。なお、管理人室及び共用室は、就寝を伴わず浴室が組み込まれていない場合に限り、2以上の異なった「避難経路」を確保しなくてもよいものとする。
 避難階における「避難経路」
図8-7-20  避難階における「避難経路」
  • ウ メゾネット型住戸等における「避難経路」は階ごとに2方向避難を確保するもののほか、主たる出入口が共用部分に面して存しない階(例えばメゾネット上階部分)については、図8-7-21に示す例によるものであること。
主たる出入口が共用部分に面して存しない階における「避難経路」
図8-7-21 主たる出入口が共用部分に面して存しない階における「避難経路」

 

(4) 廊下型特定共同住宅等において、構造類型告示第3第2号(5)の規定に適合する避難経路を確保した場合は、廊下の端部以外の場所に階段室等を設置することができること。

 

2 開放型特定共同住宅等


構造類型告示第4に規定する「開放型特定共同住宅等」については、それぞれ次による。 

(1) 廊下の開放性(開放性の検証等については、すべて有効幅員とすること。なお、階ごとに構造類型告示第4第2号(4)イ(イ)又は(ロ)の規定のいずれかにより、検証すること)構造類型告示第4第2号(1)の規定により、すべての廊下及び階段室等は、「他の建築物等の外壁」との中心線から1m以上離れていることが必要とされているが、同一の特定共同住宅等であっても、廊下及び階段室等に面して当該特定共同住宅等の外壁、駐車場の外壁、擁壁等がある場合は、「他の建築物等の外壁」に準じて取り扱うものであること。

適用例を図8-7-22に示す。

また、就寝を伴わず浴室が組み込まれていない共用室又は管理人室が避難階に存する場合又は住戸等が存しない階にあっては、当該規定を適用しない。 

なお、特定共同住宅等の同一の階に存する廊下又は階段室等のうちの一部が、隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1m未満であるとき(当該他の建築物等の高さが廊下又は階段室の手すり等の上端より低い場合を除く。以下同じ。)の取り扱いは次のとおりとすること。適用例を図8-7-23に示す。 

  • ア 隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1メートル未満である部分、若しくは構造類型告示第4第2号(4)イ(イ)dに規定する風雨等を遮る壁等の部分(以下「閉鎖部分」という。)及び(5).イに示す外気に面しない部分が廊下端部を含む場合は、当該部分が構造類型告示第4第2号(4)ロの規定を満たし、かつ、廊下全体で同第4第2号(4)イ(イ)又は(ロ)の規定を満たす場合にあっては、当該廊下は隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1メートル未満の位置にないものとして取り扱い、かつ、廊下全体で開放廊下の基準に適合しているものとみなす。 
  • イ 閉鎖部分及び(5).イに示す外気に面しない部分が廊下端部を含まない場合は、当該部分が構造類型告示第4第2号(4)ロの規定を満たし、かつ、廊下全体で同第4第2号(4)イ(イ)の規定を満たす場合、若しくは廊下全体で同第4第2号(4)イ(ロ)の規定を満たす場合にあっては、当該廊下は隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1メートル未満の位置にないものとして取り扱い、かつ、廊下全体で開放廊下の基準に適合しているものとみなす。
廊下及び階段室等に面して特定共同住宅等の外壁・駐車場の外壁・擁壁等がある場合の「他の建築物等の外壁」
図8-7-22 廊下及び階段室等に面して特定共同住宅等の壁等がある場合の「他の建築物等の外壁」
隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1m未満であるときの取扱い
図8-7-23 隣地境界線又は他の建築物等の外壁との中心線から1m未満であるときの取扱い

 

(2) 直接外気に開放されていないエントランスホール等(以下単に「エントランスホール等」という。)が避難階に存する場合にあっては、避難階以外の階及びエントランスホール等に面する住戸等(就寝又は入浴を伴うものに限る。)から、構造類型告示第4第2号(3)イの規定による避難経路を確保する必要がある。なお、当該避難経路については、構造類型告示第3第2号(5)の規定に適合する避難経路を含むものであること。

 

(3) 直接外気に開放されていない廊下又は階段室等の取り扱い 

  • ア 廊下型特定共同住宅等 

住戸又は共用室の主たる出入口が面する廊下の一部又は全部に周囲の4面が壁等により囲まれている部分が存する特定共同住宅等は、開放型特定共同住宅等には該当しないものであること。適用例を図8-7-24に示す。