第14条〔スプリンクラー設備に関する基準の細目〕


スプリンクラー設備(次項に定めるものを除く。)の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。

 

一 開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備の一斉開放弁又は手動式開放弁は、次に定めるところによること。

  • イ 放水区域ごとに設けること。
  • ロ 一斉開放弁又は手動式開放弁にかかる圧力は、当該一斉開放弁又は手動式開放弁の最高使用圧力以下とすること。
  • ハ 一斉開放弁の起動操作部又は手動式開放弁は、開放型スプリンクラーヘッドの存する階で、火災のとき容易に接近することができ、かつ、床面からの高さが0.8m以上1.5m以下の箇所に設けること。
  • ニ 一斉開放弁又は手動式開放弁の二次側配管(令第十二条第一項第二号に掲げる防火対象物又はその部分に設置するものに限る。)の部分には、当該放水区域に放水することなく当該弁の作動を試験するための装置を設けること。
  • ホ 手動式開放弁は、当該弁の開放操作に必要な力が150N以下のものであること。

二 開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備の放水区域の数は、一の舞台部又は居室につき4以下とし、二以上の放水区域を設けるときは、火災を有効に消火できるように隣接する放水区域が相互に重複するようにすること。ただし、火災時に有効に放水することができるものにあつては、居室の放水区域の数を5以上とすることができる。

 

三 制御弁は、次に定めるところによること。

  • イ 制御弁は、開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備(特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除く。)にあつては放水区域ごとに、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備(特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除く。)にあつては当該防火対象物の階(ラック式倉庫にあつては、配管の系統)ごとに床面からの高さが0.8以上1.5m以下の箇所に、特定施設水道連結型スプリンクラー設備にあっては防火対象物又はその部分ごとに、それぞれ設けること。
  • ロ 制御弁にはみだりに閉止できない措置が講じられていること。
  • ハ 制御弁にはその直近の見やすい箇所にスプリンクラー設備の制御弁である旨を表示した標識を設けること。

四 自動警報装置は、次に定めるところによること。ただし、特定施設水道連結型スプリンクラー設備にあっては自動警報装置を、自動火災報知設備により警報が発せられる場合は音響警報装置を、それぞれ設けないことができる。

  • イ スプリンクラーヘッドの開放又は補助散水栓の開閉弁の開放により警報を発するものとすること。
  • ロ 発信部は、各階(ラック式倉庫にあつては、配管の系統)又は放水区域ごとに設けるものとし、当該発信部には、流水検知装置又は圧力検知装置を用いること。
  • ハ ロの流水検知装置又は圧力検知装置にかかる圧力は、当該流水検知装置又は圧力検知装置の最高使用圧力以下とすること。
  • ニ 受信部には、スプリンクラーヘッド又は火災感知用ヘッドが開放した階又は放水区域が覚知できる表示装置を防災センター等に設けること。ただし、第十二号において準用する第十二条第一項第八号の規定により総合操作盤が設けられている場合にあつては、この限りでない。
  • ホ 一の防火対象物に二以上の受信部が設けられているときは、これらの受信部のある場所相互間で同時に通話することができる設備を設けること。

四の二 閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち小区画型ヘッドを用いるスプリンクラー設備の流水検知装置は、湿式のものとすること。ただし、特定施設水道連結型スプリンクラー設備にあつては、流水検知装置を設けないことができる。

 

四の三 ラック式倉庫に設けるスプリンクラー設備の流水検知装置は、予作動式以外のものとすること。

 

四の四 流水検知装置の一次側には、圧力計を設けること。

 

四の五 流水検知装置の二次側に圧力の設定を必要とするスプリンクラー設備にあつては、当該流水検知装置の圧力設定値よりも二次側の圧力が低下した場合に自動的に警報を発する装置を設けること。

 

五 呼水装置は、第十二条第一項第三号の二の規定の例により設けること。ただし、特定施設水道連結型スプリンクラー設備にあっては、呼水装置を設けないことができる。

 

五の二 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備の配管の末端には、流水検知装置又は圧力検知装置の作動を試験するための弁(以下「末端試験弁」という。)を次に定めるところにより設けること。ただし、特定施設水道連結型スプリンクラー設備でその放水圧力及び放水量を測定することができるものにあつては、末端試験弁を設けないことができる。

  • イ 末端試験弁は、流水検知装置又は圧力検知装置の設けられる配管の系統ごとに一個ずつ、放水圧力が最も低くなると予想される配管の部分に設けること。
  • ロ 末端試験弁の一次側には圧力計が、二次側にはスプリンクラーヘッドと同等の放水性能を有するオリフィス等の試験用放水口が取り付けられるものであること。
  • ハ 末端試験弁にはその直近の見やすい箇所に末端試験弁である旨を表示した標識を設けること。

六 送水口は、次に定めるところによること。

  • イ 専用とすること。
  • ロ 送水口の結合金具は、差込式又はねじ式のものとし、その構造は、差込式のものにあっては消防用ホースに使用する差込式又はねじ式の結合金具及び消防用吸管に使用するねじ式の結合金具の技術上の規格を定める省令(平成二十五年総務省令第二十三号)に規定する呼称六十五の差込式受け口に、ねじ式のものにあっては同令に規定する呼称65のしめ輪のめねじに適合するものであること。
  • ハ 送水口の結合金具は、地盤面からの高さが0.5m以上1m以下で、かつ、送水に支障のない位置に設けること。
  • ニ 送水口は、当該スプリンクラー設備の加圧送水装置から流水検知装置若しくは圧力検知装置又は一斉開放弁若しくは手動式開放弁までの配管に、専用の配管をもって接続すること。
  • ホ 送水口にはその直近の見やすい箇所にスプリンクラー用送水口である旨及びその送水圧力範囲を表示した標識を設けること。
  • ヘ 消防庁長官が定める基準に適合するものであること。

六の二 非常電源は、第十二条第一項第四号の規定の例により設けること。

 

七 閉鎖型スプリンクラーヘッドは、その取り付ける場所の正常時における最高周囲温度に応じて次の表で定める標示温度を有するものを設けること。

取り付ける場所の最高周囲温度
標示温度
39℃未満
79℃未満
39℃以上64℃未満
79℃以上121℃未満
64℃以上106℃未満
121℃以上162℃未満
106℃以上
162℃以上

八 起動装置は、次に定めるところによること。

  • イ 自動式の起動装置は、次の(イ)又は(ロ)に定めるところによること。

(イ) 開放型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備にあつては、自動火災報知設備の感知器の作動又は火災感知用ヘッドの作動若しくは開放による圧力検知装置の作動と連動して加圧送水装置及び一斉開放弁(加圧送水装置を設けない特定施設水道連結型スプリンクラー設備にあつては、一斉開放弁)を起動することができるものとすること。

ただし、自動火災報知設備の受信機若しくはスプリンクラー設備の表示装置が防災センター等に設けられ、又は第十二号の規定若しくは第二十四条第九号において準用する第十二条第一項第八号の規定により総合操作盤が設けられており、かつ、火災時に直ちに手動式の起動装置により加圧送水装置及び一斉開放弁を起動させることができる場合にあつては、この限りでない。

 

(ロ) 閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備にあっては、自動火災報知設備の感知器の作動又は流水検知装置若しくは起動用水圧開閉装置の作動と連動して加圧送水装置を起動することができるものとすること。

  • ロ 手動式の起動装置は、次に定めるところによること。

(イ) 直接操作又は遠隔操作により、それぞれ加圧送水装置及び手動式開放弁又は加圧送水装置及び一斉開放弁(加圧送水装置を設けない特定施設水道連結型スプリンクラー設備にあつては、それぞれ手動式開放弁又は一斉開放弁)を起動することができるものとすること。

(ロ) 二以上の放水区域を有するスプリンクラー設備にあっては、放水区域を選択することができる構造とすること。

 

八の二 乾式又は予作動式の流水検知装置が設けられているスプリンクラー設備にあっては、スプリンクラーヘッドが開放した場合に1分以内に当該スプリンクラーヘッドから放水できるものとすること。

 

九 操作回路の配線は、第十二条第一項第五号の規定に準じて設けること。

 

十 配管は、第十二条第一項第六号(特定施設水道連結型スプリンクラー設備にあっては、ニからトまでを除く。)の規定に準じて設けるほか、次に定めるところによること。

  • イ 乾式又は予作動式の流水検知装置及び一斉開放弁の二次側配管のうち金属製のものには、亜鉛メッキ等による防食処理を施すこと。
  • ロ 乾式又は予作動式の流水検知装置の二次側配管には、当該配管内の水を有効に排出できる措置を講ずること。
  • ハ 特定施設水道連結型スプリンクラー設備に係る配管、管継手及びバルブ類にあっては、消防庁長官が定める基準に適合するものを使用すること。

十一 加圧送水装置は、第十二条第一項第七号イ(ロ)、ロ(ロ)及び(ハ)、ハ(ハ)から(チ)まで、ニ並びにトの規定の例によるほか、次に定めるところによること。ただし、前条第四項に規定する補助散水栓を設置する場合における加圧送水装置の落差、圧力水槽の圧力又はポンプの全揚程については、イ、ロ若しくはハ(ロ)により求められた値又は第十二条第二項第三号、第四号若しくは第五号ロの規定の例により求められた値のうちいずれか大きい方の値以上の値とすること。

  • イ 高架水槽を用いる加圧送水装置の落差(水槽の下端からスプリンクラーヘッドまでの垂直距離をいう。以下この号において同じ。)は、次の式により求めた値以上の値とすること。

H=h1+10m

Hは、必要な落差(単位 メートル)

h1は、配管の摩擦損失水頭(単位 メートル)

  • ロ 圧力水槽を用いる加圧送水装置の圧力水槽の圧力は、次の式により求めた値以上の値とすること。

P=p1+p2+0.1MPa

Pは、必要な圧力(単位 メガパスカル)

p1は、配管の摩擦損失水頭圧(単位 メガパスカル)

p2は、落差の換算水頭圧(単位 メガパスカル)

ハ ポンプを用いる加圧送水装置は、次に定めるところによること。

 

(イ) ポンプの吐出量は、前条第二項第一号から第四号までのスプリンクラーヘッドの個数に90ℓ毎分(閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち小区画型ヘッドを用いる場合にあつては六十リットル毎分、ラック式倉庫に設けるものにあつては百三十リットル毎分)を乗じて得た量以上の量とすること。

 

(ロ) ポンプの全揚程は、次の式により求めた値以上の値とすること。

H=h1+h2+10m

Hは、ポンプの全揚程(単位 メートル)

h1は、配管の摩擦損失水頭(単位 メートル)

h2は、落差(単位 メートル)

 

ニ 加圧送水装置にはスプリンクラーヘッドにおける放水圧力が1MPaを超えないための措置を講じること。

 

ホ 配管の摩擦損失計算は、消防庁長官が定める基準によること。

 

十一の二 特定施設水道連結型スプリンクラー設備に設ける加圧送水装置は、第十二条第一項第七号イ(ロ)、ロ(ロ)及び(ハ)、ハ(ニ)から(ヘ)まで、ニ並びにトの規定の例によるほか、前号イからホまでの規定を準用する。

この場合において、同号イ中「10m」とあるのは「2m(壁及び天井(天井のない場合にあっては、屋根)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを準不燃材料以外の材料でした場合にあっては、5m)」と、同号ロ中「0.1MPa」とあるのは「0.02MPa(壁及び天井(天井のない場合にあっては、屋根)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを準不燃材料以外の材料でした場合にあっては、0.05MPa)」と、同号ハ(イ)中「閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち小区画型ヘッド」とあるのは「特定施設水道連結型スプリンクラー設備に閉鎖型スプリンクラーヘッドのうち小区画型ヘッド」と、「六十リットル毎分」とあるのは「二十リットル毎分(壁及び天井(天井のない場合にあつては、屋根)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを準不燃材料以外の材料でした場合にあっては35ℓ毎分)」と、同ハ(ロ)中「10m」とあるのは「2m(壁及び天井(天井のない場合にあっては、屋根)の室内に面する部分(回り縁、窓台その他これらに類する部分を除く。)の仕上げを準不燃材料以外の材料でした場合にあっては、5m)」と読み替えるものとする。

 

十二 第十二条第一項第八号の規定は、スプリンクラー設備について準用する。

 

十三 貯水槽等には第十二条第一項第九号に規定する措置を講ずること。

 

2 スプリンクラー設備(放水型ヘッド等を用いるものに限る。)の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。

  • 一 放水型ヘッド等は、火災の感知に連動して自動的に放水を開始するものであること。ただし、防災センター等において、火災の発生を確認し、かつ、直ちに当該設備を作動させ、放水を開始することができる場合にあっては、この限りでない。
  • 二 放水型ヘッド等が設けられている部分には、加圧送水装置の最大能力の水量を有効に排水できる大きさ及びこう配を有する排水設備が設けられていること。ただし、建築構造上、当該スプリンクラー設備及び他の消防用設備等又は特殊消防用設備等に支障を与えるおそれがなく、かつ、避難上及び消火活動上支障がないと認められる場合にあつては、この限りでない。
  • 三 前二号に定めるもののほか、消防庁長官が定める設置及び維持に関し必要な事項に適合すること。