第15条〔移動タンク貯蔵所の基準〕


移動タンク貯蔵所の位置、構造及び設備の技術上の基準は、次のとおりとする。

一 移動タンク貯蔵所は、屋外の防火上安全な場所又は壁、床、はり及び屋根を耐火構造とし、若しくは不燃材料で造つた建築物の一階に常置すること。

二 危険物を貯蔵し、又は取り扱う車両(第二条第六号に規定する車両をいう。)に固定されたタンク(以下「移動貯蔵タンク」という。)は、厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で気密に造るとともに、圧力タンクを除くタンクにあつては七十キロパスカルの圧力で、圧力タンクにあつては最大常用圧力の一・五倍の圧力で、それぞれ十分間行う水圧試験において、漏れ、又は変形しないものであること。

三 移動貯蔵タンクは、容量を三万リットル以下とし、かつ、その内部に四千リットル以下ごとに完全な間仕切を厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で設けること。

四 前号の間仕切により仕切られた部分には、それぞれマンホール及び総務省令で定める安全装置を設けるとともに、総務省令で定めるところにより、厚さ一・六ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で造られた防波板を設けること。

五 移動貯蔵タンクのマンホール及び注入口のふたは、厚さ三・二ミリメートル以上の鋼板又はこれと同等以上の機械的性質を有する材料で造ること。

六 移動貯蔵タンクに可燃性の蒸気を回収するための設備を設ける場合にあつては、当該設備は可燃性の蒸気が漏れるおそれのない構造とすること。

七 マンホール、注入口、安全装置等(以下「附属装置」という。)がその上部に突出している移動貯蔵タンクには、総務省令で定めるところにより、当該附属装置の損傷を防止するための装置を設けること。

八 移動貯蔵タンクの外面には、さびどめのための塗装をすること。

九 移動貯蔵タンクの下部に排出口を設ける場合は、当該タンクの排出口に底弁を設けるとともに、非常の場合に直ちに当該底弁を閉鎖することができる手動閉鎖装置及び自動閉鎖装置を設けること。ただし、引火点が七十度以上の第四類の危険物の移動貯蔵タンクの排出口又は直径が四十ミリメートル以下の排出口に設ける底弁には、自動閉鎖装置を設けないことができる。

十 前号の手動閉鎖装置には、総務省令で定めるところにより、レバーを設け、かつ、その直近にその旨を表示すること。

十一 底弁を設ける移動貯蔵タンクには、外部からの衝撃による底弁の損傷を防止するための措置を講ずること。

十二 移動貯蔵タンクの配管は、先端部に弁等を設けること。

十三 移動貯蔵タンク及び附属装置の電気設備で、可燃性の蒸気が滞留するおそれのある場所に設けるものは、可燃性の蒸気に引火しない構造とすること。

十四 ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物の移動貯蔵タンクには、接地導線を設けること。

十五 液体の危険物の移動貯蔵タンクには、危険物を貯蔵し、又は取り扱うタンクの注入口と結合できる結合金具を備えた注入ホースを設けること。この場合において、当該結合金具(第六類の危険物の移動貯蔵タンクに係るものを除く。)は、真鍮ちゆうその他摩擦等によつて火花を発し難い材料で造らなければならない。

十六 ガソリン、ベンゼンその他静電気による災害が発生するおそれのある液体の危険物の移動貯蔵タンクのうち計量棒によつて当該危険物の量を計量するものには、計量時の静電気による災害を防止するための装置を設けること。

十七 移動貯蔵タンクには、当該タンクが貯蔵し、又は取り扱う危険物の類、品名及び最大数量を表示する設備を見やすい箇所に設けるとともに、総務省令で定めるところにより標識を掲げること。

2 移動タンク貯蔵所のうち移動貯蔵タンクを車両等に積み替えるための構造を有するもの(第二十六条、第二十七条及び第四十条において「積載式移動タンク貯蔵所」という。)については、総務省令で、前項に掲げる基準の特例を定めることができる。

3 航空機又は船舶の燃料タンクに直接給油するための給油設備を備えた移動タンク貯蔵所については、総務省令で、第一項に掲げる基準の特例を定めることができる。

4 アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、アセトアルデヒド、酸化プロピレンその他の総務省令で定める危険物を貯蔵し、又は取り扱う移動タンク貯蔵所については、当該危険物の性質に応じ、総務省令で、第一項及び第二項に掲げる基準を超える特例を定めることができる。

5 国際海事機関が採択した危険物の運送に関する規程に定める基準に適合する移動タンク貯蔵所については、総務省令で、第一項、第二項及び前項に掲げる基準の特例を定めることができる。