①消火設備


"消火設備”とは「火災が発生した場合に、水・消火薬剤消火用ガスを使用して消火を行う設備・器具等」をいい、以下の設備が該当します。

  • 消火器
  • 簡易消火用具
  • 屋内消火栓設備
  • スプリンクラー設備 
  • 水噴霧消火設備
  • 泡消火設備
  • 不活性ガス消火設備
  • ハロゲン化物消火設備
  • 粉末消火設備
  • 屋外消火栓設備
  • 動力消防ポンプ設備

 

⑴ 消火器具


消火器具(消火器又は簡易消火用具)”は、「火災発生時の初期段階の消火を目的とした人が操作するもの」である。(消防法施行令第10条)

 

なお、消火の能力単位及び消火剤の量により、大型とその他に分けられています。

 

1⃣ 消火器具の設置及び維持に関する技術上の基準等


  • ㋐ 防火対象物の用途・構造若しくは規模,又は消火器具の種類若しくは性能に応じ、令別表第2において「その消火に適応するもの」とされる消火器具を、その能力単位の数値の合計数が、当該防火対象物又はその部刀の延べ面積又は床面積を以下の表に定める面積で除して得た数以上の数値となるように設けなければならない。

表. 消火器具の必要能力単位🧯

令別表第1(用途) 必要能力単位(1未満は切上げ)
  • (1)項イ
  • (2) 項
  • (16の2) 項
  • (16の3) 項
  • (17) 項
  • (一般) 面積+50m
  •  (耐火構造)面積+100m²
  • (1)項ロ
  • (3) 項~(6) 項
  • (9) 項
  • (12) 項~(14) 項
  • (一般) 面積+100m²
  • (耐火構造)面積+200m²
  • (7)項
  • (8) 項
  • (10) 項
  • (11) 項
  • (15) 項
  • (一般) 面積+200m²
  • (耐火構造)面積+400m²
その他の用途(付加設置) 必要能力単位(1未満は切上げ)
電気設備がある場合 消火器個数≧電気設備がある場所の床面積 ÷ 100㎡
多量の火気使用場所がある場合 能力単位数≧火気使用場所部分の床面積 ÷ 25㎡
少量危険物がある場合 能力単位数≧少量危険物数量 ÷ 危険物の指定数量
指定可燃物がある場合 能力単位数≧指定可燃物の数量 ÷ (指定可燃物の単位数量×50倍)

 

ただし、二酸化炭素又はハロゲン化物(プロモトリフルオロメタンを除く)を放射する消火器は、令別表第1(16の2)項及び(16の3)項に掲げる防火対象物、並びに地階,無窓階その他の場所に設置してはならない。

  • ㋑ 消火器具は、通行又は避難に支障がなく、かつ、使用に際して容易に持ち出すことができる箇所に設置する。
  • ㋒消火器具は、床面からの高さが1.5 m以下の箇所に設ける。
  • ㋓消火器具は、防火対象物の階ごとに、防火対象物の各部分から,それぞれ一の消火器具に至る歩行距離が20m以下となるように配置しなければならない。
  • ㋔ 指定可燃物を、危令別表第4で定める数量の500倍以上貯蔵し、又は取り扱うものには、その消火に適応するものとされる大型消火器を、防火対象物の階ごとに、指定可燃物を貯蔵し,又は取り扱う場所の各部分から一の大型消火器に至る歩行距離が30m以下となるように配置しなければならない。
  • ㋕ 消火器具は、水・その他消火剤が凍結し、変質し又は噴出するおそれが少ない箇所に設ける。
  • ㋖ 消火器には、地震による震動等による転倒を防止するための適当な措置を講じる。
  • ㋗ 消火器具を設置した箇所には「消火器」「消火バケツ」等の標識を見やすい位置に設ける。
  • ㋘ 車両に係る消火器具の設置及び維持に関する技術上の基準は、それぞれ鉄道営業法・軌道法・道路運送車両法等に定めるところによる。

 

2⃣ 緩和基準


消火器の設置個数の減少については、以下の設備をを技術上の基準に従い設置した場合は、能力単位の数値の合計数の3分の1まで、大型消火器を設置した場合は、同じく2分の1まで、それぞれ減少した数値とすることができる。

  • 屋内消火栓設備
  • スプリンクラー設備
  • 水噴霧消火設備
  • 泡消火設備
  • 不活性ガス消火設備
  • ハロゲン化物消火設備
  • 粉末消火設備

ただし、防火対象物の11階以上の部分に設置するものには適用しない。

 

 

⑵ 屋内消火栓設備


"屋内消火栓設備” は「初期消火,及び延焼拡大防止を図るために、手動で起動装置を操作し、加圧送水装置(ポンプ)を起動させ、人がホースにより消火するもの」で、加圧送水装置・起動装置・配管,屋内消火栓箱・ホース・管そう・水源等から構成」されています。(消防法施行令第11条)

 

 

1⃣ 屋内消火栓設備の設置及び維持に関する技術上の基準


屋内消火栓設備の設置及び維持に関する技術上の基準は、防火対象物用途又はその部分によって以下の通り規定されています。

  • ★(12)項イ 工場又は作業場又は(14)項 倉庫に掲げる防火対象物に係るもの、指定可燃物を750倍以上貯蔵又は取り扱う建築物等

(1号消火栓)

  1. 屋内消火栓は、防火対象物の階ごとに、その階の各部分からーのホース接続口までの水平距離が25m以下となるように設ける。
  2. 屋内消火栓設備の消防用ホースの長さは、当該屋内消火栓設備の「ホース接続口からの水平距離が25mの範囲内の当該階の、各部分に有効に放水することができる長さ」とする.
  3. 水源は、その水量が「屋内消火栓の設置個数が最も多い階における当該設置個数(当該設置個数が2を超えるときは「2」とする。)に2.6m²を乗じた量以上の量」となるように設ける。
  4. 屋内消火栓設備は、いずれの階においても、当該階のすべての屋内消火栓(設置個数が2を超えるときは,「2個」の屋内消火栓とする) を同時に使用した場合に,それぞれのノズルの先端において,放水圧力が0.17MPa以上で、かつ、放水量が130ℓ 毎分以上の性能のものとする。
  5. 加圧送水装置は点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設ける。
  6. 非常電源を附置する。

 

  • 上述した★の用途以外のもの

前記の基準(1号消火栓)、又は次の(2号消火栓)若しくは(広範囲型2号消火栓)に掲げる基準

 

(2号消火栓)

  1. 屋内消火栓は、防火対象物の階ごとに,その階の各部分からーのホース接続口までの水平距離が15m 以下となるように設ける。
  2. 屋内消火栓設備の消防用ホースの長さは,当該屋内消火栓設備の「ホース接続口からの水平距離が15mの範囲内の当該階の、各部分に有効に放水することができる長さ」とする。
  3. 屋内消火栓設備の消防用ホースの構造は、1人で操作することができるものとして,消則で定める基準に適合するものとする.
  4. 水源は,その水量が「屋内消火栓の設置個数が最も多い階における当該設置個数(当該設置個数が2を超えるときは「2」とする)に1.2㎥を乗じた量以上の量」となるように設ける..
  5. 屋内消火栓設備は、いずれの階においても,当該階のすべての屋内消火栓(設置個数が2を超えるときは「2」個とする)を同時に使用した場合に、それぞれのノズルの先端において,放水圧力が0.25MPa 以上で、かつ、放水量が60ℓ 毎分以上の性能のものとする。
  6. 加圧送水装置は、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設ける。
  7. 非常電源を附置する。

(広範囲型2号消火栓)

  1. 屋内消火栓は、防火対象物の階ごとに,その階の各部分からーのホース接続口までの水平距離が25m以下となるように設ける。
  2. 屋内消火栓設備の消防用ホースの長さは、当該屋内消火栓設備の「ホース接続口からの水平距離が25 mの範囲内の当該階の各部分に有効に放水することができる長さ」とする。
  3. 屋内消火栓設備の消防用ホースの構造は、1人で操作することができるものとして、消則で定める基準に適合するものとする。
  4. 水源は,その水量が「屋内消火栓の設置個数が最も多い階における当該設置個数(当該設置個数が2を超えるときは「2」とする)に1.6㎥を乗じた量以上の量」となるように設ける.
  5. 屋内消火栓設備は、いずれの階においても、当該階のすべての屋内消火栓(設置個数が2を超えるときは「2」個とする)を同時に使用した場合に、それぞれのノズルの先端において,放水圧力が0.17MPa以上で,かつ,放水量が80ℓ 毎分以上の性能のものとする。
  6. 加圧送水装置は、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設ける。
  7. 非常電源を附置する。

 

2⃣ 緩和基準


屋内消火栓設備の設置が必要な防火対象物、又はその部分に以下の設備を技術上の基準に従い設置した場合は、当該設備の有効範囲内の部分(屋外消火栓設備及び動力消防ポンプ設備は、1階及び2階の部分に限る)について、屋内消火栓設備を設置しないことができる。

  • スプリンクラー設備
  • 水噴霧消火設備
  • 泡消火設備
  • 不活性ガス消火設備
  • ハロゲン化物消火設備
  • 粉末消火設備
  • 屋外消火栓設備
  • 動力消防ポンプ設備

 

⑶ スプリンクラー設備


“スプリンクラー設備”は「延焼拡大防止を図るため、周囲温度が一定の温度となった場合に自動的にヘッドから放水されるものや、手動で開放弁を操作して放水するもの等により消火するもの」で,加圧送水装置・流水検知装置・自動警報装置・スプリンクラーヘッド・水源・配管等によって構成されています。

 

🐾:スプリンクラー設備に関する消防法施行規則第12条の2~消防法施行規則第15条については、過去に出題されているので要チェックです!

 

1⃣ スプリンクラー設備に関する技術上の基準


(a) スプリンクラーヘッドの設置場所

スプリンクラーヘッドは、以下の箇所にそれぞれ設けます。

  • 令別表第1(1) 項の舞台部
  • 指定可燃物は、貯蔵し、又は取り扱う部分
  • その他の防火対象物(ラック式倉庫を除く)は消防法施行規則第13条で定める部分

なお,スプリンクラー設備を設置することを要しない構造(消防法施行規則第12条の2)、スプリンクラー設備を設置することを要しない階の部分等(消防法施行規則第13条)についても要チェックです。

 

(b) スプリンクラーヘッドの設置要件

スプリンクラーヘッドは、以下の表の基準に従って設けます。

 

表① スプリンクラーヘッドの設置要件

  設置対象 設置要件

消防法施行令第12条第一項各号

 

(ただし、消防法施行令第12条第一項の1号、消防法施行令第12条第一項の5~7号、消防法施行令第12条第一項の9号を除く)に掲げる防火対象物

 スプリンクラー設備の設置及び維持に関する技術上の基準に掲げる部分の天井又は小屋裏に、当該天井又は小屋裏の各部分から、一のスプリンクラーヘッドまでの水平距離が、以下の表②の左欄に掲げる防火対象物又はその部分ごとに,同表の右欄に定める距離となるように、消防法施行規則第13条の2で定める種別(標準型ヘッド等)のスプリンクラーヘッドを設ける。

消防法施行令第12条第一項各号に掲げる防火対象物の部分

 

※以下を除く

  • 本表㋺に規定する部分
  • 消令別表第1(5)項若しくは (6)項に掲げる防火対象物、消令別表第1(16)項に掲げる防火対象物の、消令別表第1(5)項若しくは (6)項に掲げる防火対象物の用途に供される部分であって、小区画型ヘッド等が設けられている部分がある場合には、当該スプリンクラーヘッドが設けられている部分

消防法施行令第12条第一項の3号、消防法施行令第12条第一項の4号、消防法施行令第12条第一項の8号及び消防法施行令第12条第一項の10~12号までに掲げる防火対象物又はその部分のうち「可燃物が大量に存し、消火が困難と認められる部分」(令別表第1(4)項の「防火対象物及び指定可燃物を貯蔵し、又は取り扱う部分など)で、床面から天井までの高さが6mを超える部分、及びその他の部分で、床面から天井までの高さが10mを超える部分(令別表第1(1)項に掲げる防火対象物の舞台部を除く)

放水型スプリンクラーヘッド等を設ける。
消防法施行令第12条第一項の1号,、消防法施行令第12条第一項の5~7号、消防法施行令第12条第一項の9号に掲げる防火対象物 基準面積、天井までの高さにより、閉鎖型ヘッド (小区画ヘッド)、標準型ヘッド、開放型ヘッド、放水型ヘッド等を設ける。

 

表② スプリンクラーヘッドまでの水平距離に係る設置要件

防火対象物又はその部分 距離
消防法施行令第12条第一項2~4号及び消防法施行令第12条第一項10~12に掲げる防火対象物又はその部分(令別表第1(1)項に掲げる防火対象物の舞台部に限る)  1.7m以下
消防法施行令第12条第一項の8号に掲げる防火対象物 1.7m 以下(高感度型ヘッドは、当該スプリンクラーヘッドの性能に応じ、消防法施行令第13条の2第三項で定める距離以下)
消防法施行令第12条第一項の3号、消防法施行令第12条第一項の4号及び消防法施行令第12条第一項の10~12号までに掲げる防火対象物、又はその部分(令別表第1(1)項に掲げる防火対象物の舞台部を除く) 耐火建築物以外の建築 2.1m 以下(高感度型ヘッドは、当該スプリンクラーヘッドの性能に応じ、消防法施行令第13条の2第三項で定める距離以下)
耐火建築物 2.3 m 以下(高感度型ヘッドは、当該スプリンクラーヘッドの性能に応じ、消防法施行令第13条の2第三項で定める距離以下)

高感度型ヘッド:火災を早期に感知し、かつ、広範囲に散水することができるスプリンクラーヘッドとして消防法施行規則第13条の2第二項で定めるスプリンクラーヘッドのこと。

 

(c) 開口部のスプリンクラーヘッドの設置間隔

開口部(防火対象物の10階以下の部分にある開口部は,「延焼のおそれのある部分」)には、その上枠に「当該上枠の長さ2.5m 以下ごと」に一のスプリンラーヘッドを設ける。

 

ただし、防火対象物の10階以下の部分にある開口部で、防火設備が設けられているものについては、この限りでない。

 

(d) 特定施設水道連結型スプリンクラー設備

特定施設水道連結型スプリンクラー設備は消防法施行令第12条第一項の1号及び消防法施行令第12条第一項の1の9号に掲げる防火対象物、又はその部分のうち、防火上有効な措置が講いたれた構造を有するものとして消防法施行規則第13条の5の2〔防火上有効な措置が講じられた構造を有する部分〕で定める部分以外の部分の「床面積の合計が 1,000m²未満のもの」に限り、設置することができる。

 

(e) スプリンクラー設備の水源

スプリンクラー設備(特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除く)には、その水源として、防火対象物の用途・構造若しくは規模又はスプリンクラーヘッドの種別に応じ、「消防法施行規則第13条の6第一項で定めるところにより算出した量」以上の量となる「水量を貯留するための施設」を設ける。

 

(f) スプリンクラー設備の性能

スプリンクラー設備は、防火対象物の用途・構造若しくは規模又はスプリクラーヘッドの種別に応じ、「消防法施行規則第13条の6第二項で定めるところにより、放水することができる性能のもの」とする。

 

(g) 加圧送水装置設置の要件

スプリンクラー設備(消防法施行規則第13条の6第三項で定める特定施設水道連結型スプリンクラー設備を除く)には、「点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所」に水源に連結する加圧送水装置を設ける。

 

(h)非常電源設置、送水口設置の要件

スプリンクラー設備には、非常電源を附置し、かつ、消防ポンプ自動車が容易に接近することができる位置に、双口形の送水口を附置する。ただし、特定施設水道連結型スプリンクラー設備については、この限りでない。

 

(i) 補助散水栓設置

スプリンクラー設備には、消防法施行規則第13条の6第一項により、補助散水栓を設けることができる。

 

 

2⃣  緩和基準


スプリンクラー設備の設置が必要な防火対象物、又はその部分に、水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備,・ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備を技術上の基準等に従い、設置した場合は、当該設備の有効範囲内の部分についてスプリンクラー設備を設置しないことができる。

 

 

⑷ 特殊消火設備等


“特殊消火設備等”には以下の様な設備が該当し、「特殊な用途の防火対象物や、特殊な可燃物等の火災を消火のもの」である。

  • 水噴霧消火設備
  • 泡消火設備
  • 不活性ガス消火設備
  • ハロゲン化物消火設備
  • 粉末消火設備

 

1⃣ 水噴霧消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準


水噴霧消火設備は、「自動火災感知装置等が火災を感知し、自動的に流水検知装置等が開放し、起動装置が作動して加圧送水装置が起動し噴霧ヘッドから粒子状の細かい水が放水されるもの」で、加圧送水装置・流水検知装置・噴霧ヘッド・自動火災感知装置・起動装置・水源等から構成されている。(消防法施行令第14条)

  • ㋐ 噴霧ヘッドは、防護対象物の形状構造、性質,数量,又は取扱いのに応じ、標準放射量で当該防護対象物の火災を有効に消火することができるように「消防法施行規則第16条第一項又は消防法施行規則第17条第一項により、必要な個数」を適当な位置に設ける。
  • ㋑ 令別表第1に掲げる防火対象物の「道路の用に供される部分,又は駐車の用に供される部分に設置するとき」は、消防法施行規則第17条第四項により、有効な排水設備を設ける。
  • ㋒ 高圧の電気機器がある場所は、当該電気機器と噴霧ヘッド及び配管との間に「電気絶縁を保つための必要な空間」を保つ。
  • ㋓ 水源は「消防法施行規則第16条第二項又は消防法施行規則第17条第三項により、その水量が防護対象物の火災を有効に消火することができる量以上」の量となるように設ける。
  • ㋔ 水源に連結する加圧送水装置は,「点検に便利で、かつ、火災の際の延焼のおそれ、及び衝撃による損傷のおそれが少ない箇所」に設ける。ただし、保護のための有効な措置を講じたときは、この限りでない。
  • ㋕非常電源を附置する。

 

2⃣ 泡消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準


泡消火設備は、自動火災感知装置等が火災を感知し、自動的に起動装置が作動して加圧送水装置により泡水溶液が送られ、泡ヘッド等から泡が放出される「固定式」のものと、人の操作によりホースを延長し、手動で起動装置を起動させ泡消火剤を放出させる「移動式」のものがあり、固定式は自動火災感知装置・加圧送水装置・起動装置、泡消火剤貯蔵タンク・泡(放出口,ヘッド)[移動式は泡ノズル・ホース] 泡消火剤混合装置・水源等で構成されている。(消防法施行令第15条)

  • ㋐ 「固定式の泡消火設備の泡放出口」は、防護対象物の形状・構造・性質・数量又は取扱いの方法に応じ、標準放射量で当該当該防護対象物の火災を有効に消火することができるように「消防法施行規則第18条第一項により、必要な個数を適当な位置」に設ける。
  • ㋑「移動式の泡消火設備のホース接続口」は、すべての防護対象物について、当該防護対象物の各部分から一のホース接続口までの水平距離が15m以下となるように設ける。
  • ㋒「移動式の泡消火設備の消防用ホースの長さ」は、当該泡消火設備のホース接続口からの水平距離が15mの範囲内の「当該防護対象物の各部分に有効に放射することができる長さ」とする。
  • ㋓「移動式の泡消火設備の泡放射用器具を格納する箱」は、「ホース接続口から3m以内の距離」に設ける。
  • ㋔ 水源の水量又は泡消火薬剤の貯蔵量は「消防法施行規則第18条第二項及び消防法施行規則第18条第三項により、防護対象物の火災を有効に消火することができる量以上」の量となるようにする。
  • ㋕ 泡消火薬剤の貯蔵場所及び加圧送液装置は、点検に便利で,火災の際の延焼のおそれ,及び衝撃による損傷のおそれが少なく、かつ、薬剤が変質するおそれが少ない箇所に設ける。ただし、保護のための有効な措置を講じたときは、この限りでない。
  • ㋖ 非常電源を附置する。

 

3⃣ 不活性ガス消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準


不活性ガス消火設備は、放射の形態等により「全域放出方式」「局所放出方式」及び「移動式」があり、人が起動装置を操作し、作動させ(自動火災報知設備の感知器により自動起動するものもある),容器弁を開放し、不活性ガスを噴射ヘッドから放出するもので、起動装置・噴射ヘッド・配管・選択弁・不活性ガス・音響警報装置・不活性ガス貯蔵容器等から構成されている。

なお、不活性ガスとしては、二酸化炭素・窒素・窒素とアルゴンの混合物・空素とアルゴンと二酸化炭素の混合物などがある。

  • ㋐「全域放出方式の不活性ガス消火設備の噴射ヘッド」は、不燃材料で造った壁、柱・床・又は天井(天井のない場合にあっては、はり又は屋根)により区画され、かつ、開口部に自動閉鎖装置(防火設備又は不燃材料で造った戸で不活性ガス消火剤が放射される直前に、開口部を自動的に閉鎖する装置)が設けられている部分に、当該部分の容積及び当該部分にある防護対象物の性質に応じ、標準放射量で当該防護対象物の火災を有効にができるように,「消防法施行規則第18条第二項で定めるところにより、必要な個数を適当な位置」に設ける。ただし、当該部分から外部に漏れる量以上の量の不活性ガス消火剤を有効に追加して放出することができる設備であるときは,当該開口部の自動閉鎖装置を設けないことができる。
  • ㋑「局所放出方式の不活性ガス消火設備の噴射ヘッド」は、防護対象物の形状,構造,性質,数量,又は取扱いの方法に応じ、防護対象物に不活性ガス消火剤を直接放射することによって,標準放射量で当該防護対象物の火災を有効に消火することができるように,「消則 19条③項により、必要な個数を適当な位置」に設ける。
  • ㋒ 「移動式の不活性ガス消火設備のホース接続口」は、すべての防護対象について,当該防護対象物の各部分からーのホース接続口までの水平距離が15m以下となるように設ける。
  • ㋓ 「移動式の不活性ガス消火設備のホースの長さ」は,当該不活性ガス消火設備のホース接続口からの水平距離が15mの範囲内の「当該防護対象物の各部分に有効に放射することができる長さ」とする。
  • ㋔ 不活性ガス消火剤容器に貯蔵する不活性ガス消火剤の量は消防法施行規則第19条第二項により、防護対象物の火災を有効に消火することができる量以上の量となるようにする。
  • ㋕ 不活性ガス消火剤容器は,点検に便利で,火災の際の延焼のおそれ、及び衝撃による損傷のおそれが少なく,かつ,温度の変化が少ない箇所に設ける。ただし、保護のための有効な措置を講じたときは,この限りでない。
  • ㋖  非常電源を附置する(移動式を除く)

 

4⃣ ハロゲン化物消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準


ハロゲン化物消火設備は、「全城放出方式」,「局所放出方式」及び「移動式」があり、不活性ガス消火設備等の構成などと同様であり,消火薬剤がハロゲン化物を使用するもので、ハロン 2402・ハロン 1211・ハロン 1301・HFC-23・HFC-227ea などがある。(消防法施行令第17条)

  • ㋐「全域放出方式又は局所放出方式のハロゲン化物消火設備の噴射ヘッド」の設置は,前3⃣) ㋐・ ㋑に掲げる「不活性ガス消火設備の噴射ヘッドの設置」の例によるものである.
  • ㋑「移動式のハロゲン化物消火設備のホース接続口」は、すべての防護対象物について,当該防護対象物の各部分から一のホース接続口までの水平距離が20m以下となるように設ける。
  • ㋒「移動式のハロゲン化物消火設備のホースの長さ」は、当該ハロゲン化物消火設備のホース接続口からの水平距離が20m の範囲内の「当該防護対象物の各部分に有効に放射することができる長さ」とする。
  • ㋓ ハロゲン化物消火剤容器に貯蔵するハロゲン化物消火剤の量は、消則 20条3項により、防護対象物の火災を有効に消火することができる量以上の量となるようにする。
  • ㋔ ハロゲン化物消火剤容器及び加圧用容器は、点検に便利で、火災の際の延焼のおそれ、及び衝撃による損傷のおそれが少なく、かつ、温度の変化が少ない箇所に設ける。ただし、保護のための有効な措置を講じたときは、この限りでない。
  • ㋕ 非常電源を附置する(移動式を除く)

 

 

5⃣ 粉末消火設備の設置及び維持に関する技術上の基準


粉末消火設備は,「全域放出方式」, 「局所放出方式」及び「移動式」があり、人が起動装置を操作し起動,又は自動火災感知装置により起動し、加圧用ガスが粉末消火薬剤貯蔵容器に送られ、粉末消火薬剤を噴射ヘッドから放出するもので、噴射ヘッド・起動装置・噴射ヘッド・配管・選択弁・粉末消火薬剤貯蔵容器(貯蔵タンク)・加圧用ガス容器・音響警報装置・定圧作動装置,・クリーニング装置等から構成されている。(消防法施行令第18条)

  • ㋐「全域放出方式又は局所放出方式の粉末消火設備の噴射ヘッド」の設置は、前3⃣ ㋐・㋑に掲げる「全域放出方式又は局所放出方式の不活性ガス消火設備の噴射ヘッド」の設置の例によるものである。
  • ㋑「移動式の粉末消火設備のホース接続口」は、すべての防護対象物について,当該防護対象物の各部分からーのホース接続口までの水平距離が15m以下となるように設ける。
  • ㋒ 「移動式の粉末消火設備のホースの長さ」は、当該粉末消火設備のホース接続口からの水平距離が15m の範囲内の「当該防護対象物の各部分に有効に放射することができる長さ」とする。
  • ㋓ 粉末消火剤容器に貯蔵する粉末消火剤の量は消防法施行規則第21条第三項で定めるところにより,防護対象物の火災を有効に消火することができる量以上の量となるようにする。
  • ㋔ 粉末消火剤容器及び加圧用ガス容器は、点検に便利で、火災の際の延焼のおそれ、及び衝撃による損傷のおそれが少なく、かつ、温度の変化が少ない箇所に設ける。ただし、保護のための有効な措置を講じたときは、この限りでない。
  • ㋕ 非常電源を附置する(移動式を除く)。

 

6⃣ 緩和基準


指定可燃物(可燃性液体類に係るものを除く)を貯蔵し、又は取り扱う建築物その他の工作物に,スプリンクラー設備を技術上の基準に従い設置した場合は当該設備の有効範囲内の部分について、それぞれ必要な特殊消火設備を設置しないことができる。

 

⑸ 屋外消火栓設備


屋外消火栓設備は、建築物の1階又は2階の消火を目的としており、手動で起動装置を操作し、加圧送水装置(ポンプ)を起動させ、人が操作して消火ホースを延長して消火するもので、屋内消火栓設備と同様の構成である。(消防法施行令第19条)

 

1⃣ 屋外消火栓設備の設置に関する技術上の基準


(a) 屋外消火栓

屋外消火栓は,建築物の各部分からーのホース接続口までの水平距離が40m以下となるように設ける。

 

(b) 屋外消火栓設備の消防用ホースの長さ

屋外消火栓設備の消防用ホースの長さは、当該屋外消火栓設備のホース接続口からの水平距離が40mの範囲内の「当該建築物の各部分に有効に放水することができる長さ」とする。

 

(c) 屋外消火栓設備の水源

屋外消火栓設備の水源は、その水量が、屋外消火栓の設置個数(当該設置個数が2を超えるときは「2」とする)に7m² を乗じて得た量以上とする。

 

(d) 屋外消火栓設備の性能

※屋外消火栓設備は、すべての屋外消火栓(設置個数が2を超えるときは「2」個の屋外消火栓とする)を同時に使用した場合に、それぞれのノズルの先端において,放水圧力が0.25MPa以上で、かつ、放水量が350 ℓ 毎分以上の性能のものとする。

 

(e) 屋外消火栓及び屋外消火栓設備の放水用器具を格納する箱の設置基準

屋外消火栓及び屋外消火栓設備の放水用器具を格納する箱は避難の際、通路となる場所など屋外消火栓設備の操作が著しく阻害されるおそれのある箇所に成けない。

 

(f)非常電源の附置

非常電源を附置する。

 

2⃣ 緩和基準


屋外消火栓設備の設置が必要な建築物にスプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備・粉末消火設備又は動力消防ポンプ設備を技術上の基準に従い設置した場合は、当該設備の有効範囲内の部分について、屋外消火栓設備を設置しないことができる。

 

⑹ 動力消防ポンプ設備


動力消防ポンプ設備は、屋内消火栓設備等と同様に、動力消防ポンプを起動させ、人が操作して消火ホースを延長して消火するもので、動力消防ポンプ、水源、ホース等から構成されている。(消防法施行令第20条)

 

1⃣ 動力消防ポンプ設備に関する技術上の基準


(a) 動力消防ポンプ設備の性能

動力消防ポンプ設備は,「技術上の規格として定められた放水量」が,屋内消火栓設備の設置が必要な防火対象物(消令別表第1(16の2)項を除く) または、その部分に設置するものは、0.2m² 毎分以上,屋外消火栓設備の設置が必要な建築物に設置するものは0.4m² 毎分以上であるものとする。

 

(b)動力消防ポンプ設備の水源

動力消防ポンプ設備の水源は、防火対象物の各部分から一の水源までの水平距離を以下の様に設定する。

  • 当該動力消防ポンプの規格放水量が0.5m 毎分以上のものは100m 以下
  • 0.4m 毎分以上0.5m² 毎分未満のものは40m 以下
  • 0.4m² 毎分未満のものは25m 以下

(c) 動力消防ポンプ設備の消防用ホースの長さ

動力消防ポンプ設備の消防用ホースの長さは,当該動力消防ポンプ設備の水源からの水平距離が以下の範囲内の「当該防火対象物の各部分に有効に放水することができる長さ」とする。

  •  当該動力消防ポンプの規格放水量が0.5m² 毎分以上のものは100m
  • 0.4m² 毎分以上0.5m² 毎分未満のものは40m
  • 0.4m²毎分未満のものは25m

(d) 動力消防ポンプ設備の水源

水源は、その水量が当該動力消防ポンプを使用した場合に,規格放水量で20分間放水することができる量(その量が 20 m²以上となる場合は、20m)以上の量となるように設ける。

 

(e) 動力消防ポンプ設備の設置場所

動力消防ポンプは,消防ポンプ自動車又は自動車によって牽引されるものは、水源からの歩行距離が1,000m以内の場所に、その他のものは水源の直近のに常置する。

 

 

2⃣ 緩和基準


動力消防ポンプ設備の設置が必要な防火対象物、又はその部分に次に掲げる消火設備を設置した場合は、当該設備の有効範囲内の部分について、動力消防ポンプ設備を設置しないことができる。

  • 屋外消火栓設備を技術上の基準等により設置した場合。
  • 屋内消火栓設備の設置が必要な防火対象物(消令別表第1(16の2) 項を除く)の1階又は2階に屋内消火栓設備・スプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備,又は粉末消火設備を技術上の基準等に従い設置した場合。
  • 屋外消火栓設備の設置が必要な建築物の1階、又は2階にスプリンクラー設備・水噴霧消火設備・泡消火設備・不活性ガス消火設備・ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備を技術上の基準に従い設置した場合。