①消防用設備等の設置単位について


消防用設備等の設置単位は,建築物である防火防火対象物については、特段の規定(消防法施行令第8条、消防法施行令第9条 、消防法施行令第9の2条、消防法施行令第19条第二項、消防法施行令第20条第二項、消防法施行令第27条第二項)がない限り、原則とし

敷地ではない。

 

なお、次の場合は、それぞれの規定等に従う。

⑴ 令8区画(消防法施行令第8条)


防火対象物が開口部のない耐火構造(建築基準法第2条7号に規定する耐火構造)の床,又は壁で区画されているときは、その区画された部分は、消防法施行令第3節に規定する消防用設備等の設置及び維持の技術上の適用については,それぞれ別の防火対象物とみなす。

 

なお、この「令8区画」に配管等を貫通させる場合は、一定の条件を満たす必要がある。

図. 令8区画の概念図
図. 令8区画の概念図
  • ※上図の場合、(3)項ロ 飲食店と(5)項イ 民泊は、それぞれ別の消防用設備等の設置規制となります。

 

⑵ 複合用途防火対象物


令別表第1(16)項に掲げる「複合用途防火対象物」の部分で、同表 (1)~(15)項のいずれかに該当する用途に供されるものは用途ごとに、それぞれ別の消防用設備等の設置が原則適用となる。(消防法施行令第9条)

 

ただし、防火対象物全体として設置することが火災予防上、合理的と認められる以下の消防用設備等については、複合用途防火対象物の全体、又は階として設置する。

  • スプリンクラー設備
  • 自動火災報知設備
  • ガス漏れ火災警報設備
  • 漏電火災警報器
  • 非常警報設備
  • 避難器具
  • 誘導灯及び誘導標識

⑶ 地下街と接続している防火対象物


令別表第1にて、以下の用途に分類される防火対象物の地階で、「地下街(16の2)項と一体を成すもの」として消防長又は消防署長が指定したものは、スプリンクラー設備・自動火災報知設備・ガス漏れ火災警報設備及び非常警報設備については、地下街と一体とみなして消防用設備等の設置が適用となる。(消防法施行令第9条の2)

  • (1) 項~(4) 項
  • (5)項イ
  • (6) 項
  • (9)項イ
  • (16)項イ

⑷ 渡り廊下等で接続されている場合


建築物と建築物が、渡り廊下・地下連絡又は洞道(換気・暖房又は冷房の設備の風道・給排水管・配電管等の配管類・電線類・その他これらに類するものを布設するためのもの)により接続されている場合は、原則として「1棟」とする。

 

ただし、次の1⃣から3⃣のいずれかに該当する場合は別棟として取り扱うことができる。

 

1⃣ 渡り廊下で接続されている場合


建築物と建築物が地階以外の階において,渡り廊下で接続されている場合で、以下の要件に適合しているものは別棟として取り扱うことができる。

  • 渡り廊下が、通行又は運搬の用途のみに供され、かつ、可燃性物品等の存置・その他通行上の支障がない状態にある。
  • 渡り廊下の有効幅員は、接続される一方、又は双方の建築物の主要構造部が木造である場合は3m未満、その他の場合は6m未満。
  • 接続される建築物相互間の距離は、1階は6m、2階以上の階は10m超。ただし、次の㋐から㋒までに適合する場合は、この限りでない。

㋐ 接続される建築物の外壁及び屋根については、次の(A)又は(B)による(り廊下の接続部分からそれぞれ3m以内の距離にある部分に限る。次のイにおいて同じ)

  • (A) 耐火構造又は防火構造で造られている。
  • (B) (A)以外のものについては、耐火構造若しくは防火構造の塀・その他これらに類するもの、又は閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備、若しくはドレンチャー設備で、延焼防止上,有効に防護されている。

㋑ アの外壁及び屋根には開口部を有しない。ただし、面積4m以内の開口部で、甲種防火戸又は乙種防火戸が設けられている場合にあっては、この限りでない。

 

㋒ 渡り廊下については次の(A)又は(B)による。

  • (A) 吹き抜け等の開放式である.
  • (B) (A)以外のものについては次の(a)から(C)までに適合するものである.

(a) 建基令1条3号に規定する構造耐力上主要な部分を,鉄骨造,鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造とし、その他の部分を不燃材料又は準不燃材料で造ったもの。

 

(b) 建築物の両端の接続部に設けられた出入口の部分の面積はいずれも4m²以下であり、当該部分には甲種防火戸、又は乙種防火戸で,随時開くことができる自動閉鎖装置付きのもの、又は煙感知器の作動と連動して自動的に閉鎖する構造のものが設けられている。

 

(C)次の,自然排煙用開口部又は機械排煙設備が排煙上、有効な位置に、火災の際,容易に接近できる位置から手動で開放できるように,又は煙感知器の作動と連動して開放するように設けられている。ただし、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備又はドレンチャー備が設けられているものにあってはこの限りでない。

  • 自然排煙用開口部は、その面積の合計が1m²以上、かつ、「屋根又は天井に設けるもの」は、渡り廊下の幅員の3分の1以上の幅で長さ1m以上,「外壁に設けるもの」はその両側に渡り廊下の3分の1以上の長さで、高さ1m以上のもの。その他、これらと同等以上の排煙上有効な開口部を有するもの。
  • 機械排煙設備は、渡り廊下の内部の煙を有効、かつ、安全に外部へ所除することができるものであり、電気で作動させるものには非常電源が附置されているもの。

 

2⃣ 地下連絡路で接続されている場合


建物と建物が地下連絡路で接続されている場合で以下の要件に “すべて” 適合しているものは、別棟として取り扱うことができる。

 

ただし、天井部分が直接外気に常時開放されているもの(ドライエリア形式のもの)は除かれる。

  • 接続される建築物又はその部分(地下連絡路が接続されている階の部分)の主要構造部は、耐火構造である。
  • 地下連絡路は、通行又は運搬の用途のみに供され、かつ、可燃物品等の存置,その他通行上支障がない状態にある。
  • 地下連絡路は耐火構造とし、かつ、その天井及び壁並びに床の仕上げ材料及びその下地材料は、不燃材料である。
  • 地下連絡路の長さ(地下連絡路の接続する両端の出入口に設けられた防火戸相互の間隔)は6m以上,その幅員は6m 未満である。ただし、双方の建築物の接続部に閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備又はドレンチャー設備が,延焼防止上有効な方法により設けられている場合は、この限りでない。
  • 地下連絡路には、内部の煙を有効、かつ、安全に外部へ排除することができる排煙設備(電気で作動させるものには非常電源が附置されていること)が設置されている。ただし、閉鎖型スプリンクラーヘッドを用いるスプリンクラー設備が設けられている場合は、この限りでない。
  • 建築物と地下連絡路とは、当該地下連絡路の両端の出入口の部分を除き、開口部のない耐火構造の床、又は壁で区画されている。

【補足】出入口の構造

  1. 出入口の開口部の面積は4m²以下である。
  2. 出入口には、甲種防火戸で随時開くことができる自動閉鎖装置付きのもの、又は随時閉鎖することができ、かつ、煙感知器の作動と連動して閉鎖するものが設けられている。

 

3⃣ 洞道で接続された場合


建築物と建築物が洞道で接続された場合で、以下の要件に “すべて” 適合しているものは、別棟として取り扱うことができる。

  • 建築物と洞道とは、週道が接続されている部分の開口部、及び当該河道の点検又は換気のための開口部(接続される建築物内に設けられるもので2m²以下のものに限る)を除き、開口部のない耐火構造の床、又は壁で区画されている。
  • 洞道は耐火構造又は防火構造とし、その内側の仕上げ材料及びその下地材料は、不燃材料である。
  • 洞道内の風道,配管配線等が建築物内の耐火構造の壁又は床を貫通する場合は、当該貫通部において、当該風道,配管,配線等と洞道,及び建築物内の耐火構造の又は床との隙間を不燃材料で埋めてあること。ただし、洞道の長さが20m を超える場合にあっては、この限りでない。
  • 点検のための開口部(建築物内に設けられているものに限る)には,甲種防火戸又は乙種防火戸(開口部の面積が2m²以上のものにあっては、自動閉鎖装置付きのものに限る)が設けられている。
  • 換気のための開口部常時開放状態にあるものにあっては、防火ダンパーが設けられている。

 

⑸ 同一敷地内にある2以上の建築物の扱い


消防用設備等の設置単位の棟単位であるが、次の消防用設備等については、同一敷地内にある一定条件の建築物にあっては、1の防火対象物として取り扱う。(消防法施行令第19条第2項、消防法施行令第20条第2項、消防法施行令第27条第2項)

 

1⃣ 屋外消火栓設備


屋外消火栓設備の設置が必要となる建築物(耐火建築物及び準耐火建築物を除く)が2以上あるもので、当該建築物相互の1階の外壁間の中心線からの水平距離が、1階は3m以下、2階は5m以下である部分を有するものは、1の防火対象物として、屋外消火栓設備の設置が適用となる。

 

2⃣ 動力消防ポンプ


屋外消火栓設備の設置が必要となる建築物で、動力消防ポンプの設置が必要となる建築物については,前1⃣を準用する。

 

3⃣ 消防用水


消防用水の設置が必要となる建築物のうち、消令別表第1(1) 項から(15)項まで、(17) 項及び (18)項に掲げる建築物(高さが31 mを超え、かつ、延べ面積が25,000㎡以上の建築物を除く)が2以上ある場合に,これらの建築物が、当該建築物相互の1階の外壁間の中心線からの水平距離が、1階は3m以下、2階は5m以下である部分を有し、かつ、これらの建築物の床面積を,耐火建築物は15,000 m", 準耐火建築物は 10,000m², その他の建築物は5,000mでそれぞれ除した商の和が1以上となるときは、これらの建築物は、1の防火対象物として消防用水の設置が適用となる.