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ガス漏れ火災警報設備について

専用のガス放出器具で試験
ガス漏れ火災警報設備の検知器を専用のガス放出器具で試験中。

ガス漏れ火災警報設備は、都市ガス・プロパンガスなどのガス漏れを検知して、音響を発する4類の消防用設備です。

 

検知器・中継器・受信機・警報装置などで構成されます。

(´-`).。oO(どうでもいい話ですがガス漏れの場合は、感知器ではなく “検知器” と呼びます…。。)

 

その検知器の有効期限が “取付け後5年間 であり、今回その交換時期が来たため、お取替えをさせていただきました。

 

以下に、その取替・試験の模様に加えまして、ガス漏れ火災警報器の設置基準・背景などについても言及し、記していきます。…

ガス漏れ火災警報設備の設置基準と背景


ガスの取扱いを誤ると大惨事
ガスの取扱いを誤ると大惨事に‥。

ガス漏れ火災警報設備の設置基準は、消防法施行令第二十一条の二で定められています。✍(´・ω・`)

 

1980年に起こった静岡駅前地下街爆発事故を受けて、法令が改正され、“地階”や“地下街”などに、ガス漏れ火災警報設備等の設置が義務化されたようです。💡

(´-`).。oO(月刊フェスクという消防の雑誌でみました…。)📚

 

また、2007年には渋谷温泉施設爆発事故が発生し、ガス漏れ火災警報設備を設置すべき施設に“温泉の採取のための設備”が追加されることとなりました。♨(;´Д`)

 

上記のガス爆発事故の被害はいずれも甚大です。

他にも、つま恋ガス爆発事故など、概要を知るだけでその危険度や、被害の悲惨さが分かります。


ガス漏れ火災警報設備の設置を要する防火対象物


ガス漏れ火災警報設備の設置基準
ガス漏れ火災警報設備の設置基準 ※クリックで拡大

注1

燃料用ガスが使用されるものに限る。

なお、燃料用ガスが使用されるとは、次のものをいう。

  • ガス燃焼機器が設置されているもの
  • ガス燃焼機器を接続するだけで使用可能な状態にガス栓が設置されているもの。

注2

  1.  温泉の採取のための設備とは、温泉井戸、ガス分離設備及びガス排出口並びにこれらの間の配管をいう。
  2. 可燃性天然ガスが滞留するおそれのない場所とは、室の2面以上開放されているものをいう。

参考:川崎市


ガスの爆発が起こる条件


ガス爆発が起こるには3つの要素
ガス爆発が起こるには3つの要素があります。
  • ガスと空気がある程度の割合の濃度で混合されていること。

都市ガスの場合は、ガスの濃度が4~15%の割合で空気と混ざったときに爆発を起こします。

(´-`).。oO(濃度100%のガスは爆発しません‥。。)

 

  • 爆発を引き起こす点火源があること。

ガスがあっても火種がなければ、爆発は起こりません。

(´-`).。oO(つま恋ガス爆発では“製氷機のスパーク”で引火したようです…。。)

 

  • ある程度密閉された空間であること。

ガス漏れ火災警報設備の検知器交換


ガス漏れ火災警報設備の検知器を交換・試験した際の様子を、写真と共に以下に紹介させていただきます。👷✨

 

(´-`).。oO(“工事”と言うほどのものでもありませんが…。。)

①ガス漏れ火災警報設備の受信機


ガス漏れ火災警報設備の受信機には、以下の3種類があります。

  • G型受信機‥ガス漏れ火災警報設備のみの機能を持った受信機。
  • GP型受信機‥ガス漏れ火災警報設備と自動火災報知設備P型受信機の機能を1台で併せ持つもの。
  • GR型受信機‥ガス漏れ火災警報設備と自動火災報知設備R型受信機の機能を1台で併せ持つもの。

(´-`).。oO(今回の受信機は、上記の“G型受信機”に該当します…。。)💡

ガス漏れ火災警報設備のG型受信機
ガス漏れ火災警報設備のG型受信機
警戒区域
1~4階で警戒区域が分けられています
検知器を外すと“E6”のトラブルが点灯
検知器を外すと“E6”のトラブルが点灯

②ガス漏れ火災警報設備の検知器交換


交換対象の旧検知器
交換対象の旧検知器。
検知器は掴んで回す
検知器は掴んで回すと取れます。
検知器を取った際
検知器を取った際の様子。※受信機では断線表示

交換した旧検知器
交換した旧検知器ヘッド。
新しい検知器をセット
新しい検知器をセット。
5年後の交換時期
2022年の5月が5年後の交換時期です。

③検知器の試験


ガス漏れ火災警報設備の検知器を試験する際に、ライター型の専用機器を用います。

✍(´-`).。oO(ライターではありませんので、注意してください‥。。)

 

また、都市ガス用検知器の検知濃度(警報濃度)は、爆発が起こるガス濃度の最低ライン(爆発下限界)の200分の1~4分の1となっています。

💡(´-`).。oO(ちなみに、空気より重いプロパンガスの検知濃度は爆発下限界の5分の1となっています…。。)

通常時は緑色のLEDが点灯
通常時は緑色のLEDが点灯しています。
ガスを検知すると赤いLEDが点灯して音響鳴動
ガスを検知すると赤いLEDが点灯して音響鳴動!
G型受信機でもガス漏れを検知を発報
G型受信機でもガス漏れを検知したことを発報!

まとめ


  • ガス漏れ火災警報設備の“検知器”交換周期は5年で、次回は2022年の5月に交換予定。
  • ガス漏れ火災警報設備は4類の消防用設備で、地下街などに設置が義務化された背景には悲惨な大爆発事故があった。
  • ガス漏れ火災警報設備の受信機には3種類あり、本防火対象物にはG型受信機が設置されていた。

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コメント: 6
  • #1

    りゅう (月曜日, 15 5月 2017 21:58)

    青木防災さんのHPは役に立つなーと
    感心しながら、いつも読んでます(・∀・)

    甲種1類まであと1ヶ月半となりました
    甲種4類より覚えることが多いし
    製図の勝手も違うし厄介ですね(・・;)

    最後まで諦めずベスト尽くします!!!

  • #2

    管理人 (火曜日, 16 5月 2017 11:45)

    >りゅうさん
    いつもありがとうございます(・ω・)ノ♪
    勉強熱心ですね!少しでもお役に立てれば何よりです。

    1類の資格は、水系設備専門の業者さんでも取得に苦労しているようです。
    (´-`).。oO(それだけやりがいがあるということも事実です…。。)

    りゅうさんのおっしゃいますとおり、製図が合否の分かれ目となっております。
    逆に言うと、製図をマスターすれば他のところも理解が進んでいるようなことになるかと思います。
    弁類の順番や、配管系統から、

  • #3

    管理人 (火曜日, 16 5月 2017 11:49)

    (´-`).。oO(コメントが途中で途切れていました…。。�)

    弁類の順番や、配管系統、損失の計算など、製図の問題になっている事柄は、実務でも必ず使用します!!(着工届作成時など)

    1類の製図を勉強する上で、無駄になることは一つもないと思います!
    青木防災一同、りゅうさんを応援しています!�✨
    (´-`).。oO(といいつつ、肩の力を抜いていただきまして‥、分からない事がどうぞ遠慮なくご質問くださいね…。。)

  • #4

    社長 (火曜日, 16 5月 2017 18:50)

    ライターに似てるからと言って ライターで試験なんかすると都市ガス用は復旧しなくて最悪故障するから気をつけようね

  • #5

    管理人 (水曜日, 17 5月 2017 09:13)

    >社長
    ライターのガスはブタンガスで空気より重いため、高密度のまま検知器内に残ってしまうんでしょうか…。

    (´-`).。oO(見た目は完全にライターですもんね…。。)

  • #6

    しもやん (水曜日, 12 4月 2023 21:19)

    質問失礼いたします。

    ガス漏れ火災警報設備について、他の消防設備と同様
    機器点検、総合点検の時はガス放出器具等を用いて
    点検(表示灯点灯、音響鳴動の確認)を行うのでしょうか。

    私が住んでいるマンションの台所の上部には
    大阪ガス製ぴこぴこYP-756Eが設置されていますが、
    年二回の消防点検の時には、
    防災屋さんは感知器と避難器具の点検のみを行っております。

    お手数ですが、ご教示いただけますと幸いです。