スプリンクラー設置基準について

大阪市千日デパートビル火災(1972年 118人死亡) ・ 熊本市大洋デパート火災(1973年 100人死亡)を契機に、消防庁は1974年に特定防火対象物に対する全消防用設備等の遡及措置に踏み切りました。

その効果は歴然で、古い建物に屋内消火栓・スプリンクラー設備等を遡及設置後は、火災統計分析結果が劇的に改善されたそうです。

(そきゅう【遡及】…法律をその施行以前になされた行為や生じた事実にさかのぼって適用すること。)

 以下に詳細を示します。……

スプリンクラー設備の設置基準


スプリンクラー設備 の設置が必要な 防火対象物


スプリンクラー設備は、基本的には特定防火対象物に設置します。

 

ただし、その設置義務は細かく規定されています。

  

以下に詳細を示します。

①自力避難困難者入所施設

特別養護老人ホームなどの自力避難困難者入所施設(令別表第1(6)項ロ)は、小規模でも原則としてすべての施設にスプリンクラー設備の設置が義務付けられています。

②劇場などの舞台部

消防法施行令別表第1(1)項の劇場・映画館等の舞台部には、舞台のある階と舞台部の床面積に応じて、以下のようにスプリンクラー設備を設置します。

舞台のある階 舞台部の床面積       
地階・無窓階・4階以上の階 300 ㎡以上
 その他の階 500 ㎡以上

③11階建て以上の特定防火対象物

特定防火対象物のうち、地階を除く階数が11以上のものは、延べ面積に関わらず、すべての階にスプリンクラー設備を設置します。

④平屋建て以外の特定防火対象物

平屋建て以外の特定防火対象物では、床面積の合計が以下の場合に、各階にスプリンクラー設備を設置します。

防火対象物の種類 床面積の合計                
百貨店・マーケットその他の店舗、展示場 3000 ㎡以上
 病院 3000 ㎡以上
その他の特定防火対象物 6000 ㎡以上

⑤地階・無窓階・4階~10階

特定防火対象物の地階・無窓階、4~10階には以下の場合にスプリンクラー設備を設置します。

別表第1 防火対象物の種類 床面積
(2)

イ キャバレー、カフェ、ナイトクラブ

ロ 遊技場、ダンスホール

ハ 性風俗店関連店舗

二 カラオケボックス等

1000 ㎡以上
(4) 百貨店、マーケットその他の店舗、展示場 1000 ㎡以上
  その他の防火対象物 (地階・無窓階は1000 ㎡以上) 1500 ㎡以上

⑥複合用防火対象物の特定用途部分

複合用途防火対象物(雑居ビル)で、特定用途部分の床面積の合計が3000 ㎡以上ある場合には、特定用途のある階にスプリンクラー設備を設置します。

また、複合用途防火対象物の地階・無窓階・4~10階部分に特定用途部分がある場合には、その階の床面積の合計が上記⑤表に掲げる値以上の場合に、スプリンクラー設備を設置します。

⑦地下街、準地下街

地下街および準地下街にについては、以下の場合にスプリンクラー設備を設置します。

じゅんちかがい【準地下街】…建築物の地階に連続して地下道に面して設けられたものと地下道を合わせたもの。

地下街

延べ面積 1000 ㎡以上

自力避難困難者入所施設のある部分

準地下街 延べ面積 1000 ㎡以上で、特定用途部分の床面積の合計が 500㎡以上

その他の場合


また、特定防火対象物以外であっても、以下の場合はスプリンクラー設備を設置します。

 

①11階以上の階

 

②ラック式倉庫…天井の高さが10mを超え、延べ面積が700㎡以上のラック式倉庫にはスプリンクラー設備を設置します。

 

③指定可燃物…指定可燃物(可燃性液体を除く)を指定数量の1000倍以上貯蔵又は取り扱う建築物は、防火対象物の種類にかかわらず、スプリンクラー設備を設置します。

 

 

 

逆に言うと、これ以外の非特定防火対象物に設置義務はありません。

 

非特定防火対象物はすべての消防設備に対する遡及設置もされません。

例えば“この建物なんで 消防設備がないんだろう??” という疑問の答えは、“古い非特定防火対象物であって遡及設置義務がないから“ である、といえます。