第12 特例基準


自動火災報知設備を設置しなければならない防火対象物又はその部分のうち、次のいずれかに該当するものについては、令第32条又は条例第47条の規定を適用し、それぞれ当該各項に定めるところによる。 

 

1 屋内消火栓設備の基準(第12.1((6)を除く。))に適合するものについては、自動火災報知設備を設置しないことができる。 

 

2 次のいずれかに該当するものについては、自動火災報知設備の感知器を設置しないことができる。 

 

(1) 耐火構造の壁及び床又は特定防火設備である防火戸若しくはこれと同等以上のもので区画された金庫室等

 

(2) 恒温室、冷蔵室等で、当該場所における温度の異常を早期に感知することができる装置(以下「温度監視装置」という。)を有しており、温度監視装置が温度の異常を感知した場合に、防災センター等において警報及び灯火により容易に覚知できるよう措置されているもの

 

(3) 準耐火建築物の天井裏、小屋裏で、不燃材料の床、壁及び天井で区画されている部分

 

(4) 浴室、シャワー室、洗面所等の用途に供する場所。ただし、当該部分に洗濯乾燥機、電気湯沸器、電気温風器等又はガラス曇り防止器等ヒーターを内蔵した機器等のうち、電気用品安全法(昭和36年法律第234号)に基づき、安全性が確認されていないもの又は機器個々のヒーターの出力が2キロワットを超えるものを設置した場所を除く。 

 

(5) 踏込み、床の間及び床面積が3㎡未満の広縁 

 

(6) 溶鉱炉、鋳造所等多量の火気を使用し、温度変化の著しく大なる部分

 

(7) 機械設備等の振動が激しい場所等で感知器の機能保持が困難な場所

 

(8) 階段に接続されていない10m以下の廊下、通路又は階段に接続された廊下、通路等で、階段までの歩行距離が10m以下のもの 

 

(9) パイプシャフトその他これらに類する場所のうち、次のア又はイに適合するもの 

  • ア 水平投影面積が1㎡未満のもの
  • イ ア以外のもので、次に適合するもの 

(ア) 耐火構造の壁で造られ、かつ、階ごとに水平区画が施されたもので、開口部に防火戸又はこれらと同等以上のものが設けられているもの 

(イ) 給水管及び排水管のみで、可燃物が存置されていないもの

 

(10) 不燃材料で区画され可燃性物品を収納していない水槽室等

 

(11) 工場又は作業場で常時作業し、かつ、火災の発生を容易に覚知し、報知できる部分

 

(12) 床面積が1㎡未満の物入又はSK室

 

(13) 給排気ダクトで風速が5メートル毎秒以上のもの

 

(14) 臭気ダクト及びダストシュートでじんあい等が著しく発生する場所

 

(15) 上屋その他外部の気流が流通する場所(外気に面する部分から5m未満の範囲をいう。)のうち、当該部分に面する部分の仕上げが不燃材料で仕上げられており、かつ、可燃物の存置がなく通行・運搬の用途のみに供される部分。

 

(16) 泡消火設備の基準(第3.1.(6))に適合する国土交通大臣の認定を受けた多段式の自走式自動車車庫で、同基準(第3.1.(6).ア)の開口部から5m未満の範囲の部分。

 

(17) 可動式ブースのうち、次に適合するもの 

  • ア 可動式ブースの床面積が3㎡以下であること
  • イ 可動式ブースの天井及び壁が不燃材料で仕上げられていること
  • ウ 可動式ブース外部から当該ブース内で発生した火災を目視等で確認できること
  • エ 可動式ブース内で火災が発生しても確実に消火できることが消火実験等により確認されている住宅用下方放出型自動消火装置が設置されていること
  • オ エの住宅用下方放出型自動消火装置は、パッケージ型自動消火設備Ⅱ型の点検基準(該当する点検項目に限る。)に準じた点検が定期的に実施され、適切に維持管理されていること 

3 次のいずれかに該当するものについては、自動火災報知設備の煙感知器、熱煙複合式スポット型感知器又は炎感知器を設置しないことができる。 

 

(1) 次のいずれかに該当するものについては、規則第23条第5項第6号の規定によらないことができる。 

  • ア 炎感知器の設置が必要となる地階、無窓階及び11階以上の部分が駐車の用に供されており、かつ、規則第23条第6項第1号に定める高感度の熱感知器が設置されている場合
  • イ 令別表第1(5)項ロに掲げる防火対象物(同表(16)項ロに掲げる防火対象物のうち同表(5)項ロに掲げる用途に供される部分を含む。)(主要構造部を耐火構造としたもの又は建基法第2条第9号の3イ若しくはロのいずれかに該当するものに限る。)の一部の住戸(共同住宅の形態を有する各独立部分(構造上区分された数個の部分の各部分で独立して当該用途に供されることができるものをいう。以下同じ。)を含む。)を同表(5)項イ並びに(6)項ロ及びハ(規則第13条第1項第1号に規定する(6)項ロ及びハをいう。)に掲げるいずれかの用途(以下イにおいて「住戸利用施設」という。)として使用することにより、同表(16)項イに掲げる防火対象物となる場合で、次に該当する同表(5)項ロの用途部分 

(ア) 令別表第1(5)項イに掲げる用途に供する各独立部分に避難経路図が設けられていること

 

(イ) 住戸利用施設の各独立部分内の廊下、階段その他の通路(就寝室(宿泊者又は入居者の就寝の用に供する居室をいう。以下(イ)において同じ。)からの避難経路に限る。)に建基令第126条の4及び5の規定の例により非常用の照明装置を設置し、又は、各就寝室に常時容易に使用可能な、次に適合する携帯用照明器具が設けられていること 

  • A 照度は、30センチメートル前方でおおむね50ルクスのものであること
  • B 照射方式が、散光式のものであること
  • C 器具本体に乾電池の取替年月日を記入したラベルが貼付されていること 

(2) 炎感知器の設置が必要となる高さ20メートル以上である場所のうち、立体駐車場(垂直循環方式、エレベータ方式、エレベータ・スライド方式のものに限る。)で、差動式分布型感知器又は煙感知器が設置されている場合

 

(3) 炎感知器以外の感知器が適さない場所のうち、障害物等により未監視部分が多く発生し、有効に火災を感知できない場合又は車両のヘッドライト等による非火災報が発生するおそれがある場合は、感知器を設置しないことができる。 

 

4 仮設建築物のうち次に該当するものについては、自動火災報知設備を設置しないことができる。

 

(1) 存続期間が6カ月以内であること

 

(2) 巡回監視装置を設け頻繁に巡視する等容易に火災を感知できる措置が講じられていること

 

5 令第21条第1項第3号イに掲げる防火対象物のうち、令別表第1(16)項イに掲げる防火対象物で、次に該当するものについては、同項第1号に掲げる防火対象物の部分を除き、自動火災報知設備を設置しないことができる。 

 

(1) 延べ面積が500㎡未満であること

 

(2) 令別表第1(1)項から(4)項まで、(5)項イ、(6)項又は(9)項イに掲げる防火対象物の用途(以下「特定用途」という。)に供される部分が次に該当すること 

  • ア 特定用途に供される部分の存する階は、避難階(建基令第13条第1号に規定する避難階をいう。)であり、かつ、無窓階以外の階であること
  • イ 特定用途に供される部分の床面積の合計は、150㎡未満であること
  • ウ 全ての特定用途に供される部分から主要な避難口(規則第28条の3第3項第1号イに規定する出入口をいう。)に容易に避難できること。ただし、令第21条第1項第1号に掲げる防火対象物の部分についてはこの限りでない。 

6 令第21条第1項第7号に掲げる防火対象物のうち、避難階以外の階(1階及び2階を除く。)の部分が、次のいずれかに該当するものについては、自動火災報知設備を設置しないことができる。 

 

(1) 居室以外の部分(機械室、倉庫等)で不特定多数の者の出入りがないもの

 

(2) 実態上の用途が特定用途以外の用途に供される部分で、「令別表第1に掲げる防火対象物の取り扱いについて」( 昭和50年4月15日付け消防予第41号、消防安第41号。消防庁予防課長、安全救急課長通知。以下「41号通知」という。)1.(2)により、主たる用途に供される部分の従属的な部分を構成すると認められる部分とされたため、当該部分が特定用途に供される部分として取り扱われているもの

 

(3) 住宅の用途に供されている部分であって、41号通知2.(2)により、防火対象物全体が単独の特定用途に供される防火対象物として取り扱われることとされたため、当該住宅の用途に供される部分が特定用途に供される部分として取り扱われているもの

 

7 令別表第1(17)項に掲げる防火対象物(以下「文化財建造物」という。)における自動火災報知設備については、次によることができる。 

 

(1) 次のいずれかに該当する場合は、自動火災報知設備を設置しないことができる。 

  • ア 文化財建造物を収納した建築物の主要構造部を耐火構造とし、かつ、当該建築物の内部及び周囲に火災発生の要因がないもの
  • イ 一間社、茶室等延べ面積が7平方メートル以下の小規模な文化財建造物であり、当該建造物が他の建築物等と独立していて火災の発生のおそれが少なく、かつ、火災の延焼のおそれが少ないと認められるもの
  • ウ 文化財建造物の敷地内に管理者が常駐していないため火災の発生を有効に覚知できず、かつ、その敷地の周囲に民家等がなく設置しても有効に維持できないと認められるもの 

(2) 感知器の設置については、次によることができる。 

  • ア 電気設備及び煙突を有する火気使用設備を設けていない文化財建造物であり、かつ、当該建造物の周囲の建築物等に煙突を有する火気使用設備を設けていない場合は、当該建造物の小屋裏又は神社内陣の部分には感知器を設置しないことができる。
  • イ 三重塔、五重塔その他これらに類する塔の小屋裏及び観覧者を入れない城郭等の文化財建造物の階段には、煙感知器を設置しないことができる。
  • ウ 一間社、茶室等の小規模な文化財建造物に設ける差動式分布型感知器の空気管の1の感知区域の露出長は、10メートル以上20メートル未満とすることができる。 

(3) 常時人が居住せず、かつ、観覧者を入れない文化財建造物については、地区音響装置を設置しないことができる。 

 

8 大規模冷凍・冷蔵倉庫等の庫内における発信機及び地区音響装置の設置について、当該節の基準によることが困難なものにあっては、設置環境又は設置状況等により設置が適応しないものに限り、次によることができる。 

 

 (1) 発信機の設置について、次に該当する場合は庫内に設置しないことができる。 

  • ア 庫外の発信機からの歩行距離が50メートルを超える庫内の部分に、押しボタンが設けられていること
  • イ アの押しボタンの位置を示す表示灯等の灯火が設けられていること
  • ウ アの押しボタンを押下した場合に、防災センター等において警報及び灯火により容易に覚知できるよう措置されていること
  • エ アの押しボタンの押下に連動して、自動火災報知設備の地区音響装置が鳴動するよう措置されていること
  • オ 押しボタン及び灯火には非常電源が設けられていること 

(2) 地区音響装置の設置について、次に該当する場合は庫内に設置しないことができる。

  • ア 庫内の出口付近に回転灯等の灯火が設けられていること
  • イ (1)により押ボタンが設置される場合にあっては、押しボタンの押下に連動して、自動火災報知設備の地区音響装置が鳴動するよう措置されていること
  • ウ 庫内の温度異常を感知した場合及び自動火災報知設備の作動と連動して、アの灯火が点灯するよう措置されていること。なお、庫内のいずれの部分からも灯火が視認できない場合にあっては、通路等に灯火が増設されていること
  • エ 灯火には非常電源が設けられていること 

9 ガス充てん所の製造施設のうち、屋内消火栓設備の基準(第12.13又は14)に適合するものについては、自動火災報知設備を設置しないことができる。 

 

10 消火器具の基準(第4.6)に適合するものについては、住戸ごとにそれぞれ別の防火対象物とみなし令第21条の規定を適用することができる。