第30条〔排煙設備に関する基準の細目〕


排煙設備の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。

 

一 排煙口は、次のイからホまでに定めるところによること。

  • イ 間仕切壁、天井面から50cm(令第二十八条第一項第一号に掲げる防火対象物にあっては、80cm)以上下方に突出した垂れ壁その他これらと同等以上の煙の流動を妨げる効力のあるもので、不燃材料で造り、又は覆われたもの(以下この条において「防煙壁」という。)によつて、床面積500㎡(令第二十八条第一項第一号に掲げる防火対象物にあっては、300㎡ )以下に区画された部分(以下この条において「防煙区画」という。)ごとに、一以上を設けること。ただし、給気口(給気用の風道に接続されているものに限る。)が設けられている防煙区画であって、当該給気口からの給気により煙を有効に排除することができる場合には、この限りでない。
  • ロ 防煙区画の各部分から一の排煙口までの水平距離が30m以下となるように設けること。
  • ハ 天井又は壁(防煙壁の下端より上部であつて、床面からの高さが天井の高さの二分の一以上の部分に限る。)に設けること。
  • ニ 排煙用の風道に接続され、又は直接外気に接していること。
  • ホ 排煙口の構造は、次に定めるところによること。

・(イ) 当該排煙口から排煙している場合において、排煙に伴い生ずる気流により閉鎖するおそれのないものであること。

・(ロ) 排煙用の風道に接続されているものにあっては、当該排煙口から排煙しているとき以外は閉鎖状態にあり、排煙上及び保安上必要な気密性を保持できるものであること。

 

二 給気口は、次のイからニまでに定めるところによること。

  • イ 特別避難階段の附室、非常用エレベーターの乗降ロビーその他これらに類する場所で消防隊の消火活動の拠点となる防煙区画(以下この条において「消火活動拠点」という。)ごとに、一以上を設けること。
  • ロ 床又は壁(床面からの高さが天井の高さの二分の一未満の部分に限る。)に設けること。
  • ハ 給気用の風道に接続され、又は直接外気に接していること。
  • ニ 給気口の構造は、次に定めるところによること。

・(イ) 当該給気口から給気している場合において、給気に伴い生ずる気流により閉鎖するおそれのないものであること。

・(ロ) 給気用の風道に接続されているものにあっては、当該給気口から給気しているとき以外は閉鎖状態にあり、給気上及び保安上必要な気密性を保持できるものであること。

 

三 風道は、次のイからホまでに定めるところによること。

  • イ 排煙上又は給気上及び保安上必要な強度、容量及び気密性を有するものであること。
  • ロ 排煙機又は給気機に接続されていること。
  • ハ 風道内の煙の熱により、周囲への過熱、延焼等が発生するおそれのある場合にあっては、風道の断熱、可燃物との隔離等の措置を講ずること。
  • ニ 風道が防煙壁を貫通する場合にあつては、排煙上支障となるすき間を生じないようにすること。
  • ホ 耐火構造の壁又は床を貫通する箇所その他延焼の防止上必要な箇所にダンパーを設ける場合にあっては、次に定めるところによること。

・(イ) 外部から容易に開閉することができること。

・(ロ) 防火上有効な構造を有するものであること。

・(ハ) 火災により風道内部の温度が著しく上昇したとき以外は、閉鎖しないこと。この場合において、自動閉鎖装置を設けたダンパーの閉鎖する温度は、280℃以上とすること。

・(ニ) 消火活動拠点に設ける排煙口又は給気口に接続する風道には、自動閉鎖装置を設けたダンパーを設置しないこと。

 

 起動装置は、次のイ及びロに定めるところによること。

  • イ 手動起動装置は、次に定めるところによること。

・(イ) 一の防煙区画ごとに設けること。

・(ロ) 当該防煙区画内を見とおすことができ、かつ、火災のとき容易に接近することができる箇所に設けること。

・(ハ) 操作部は、壁に設けるものにあっては床面からの高さが〇・八メートル以上一・五メートル以下の箇所、天井からつり下げて設けるものにあつては床面からの高さがおおむね一・八メートルの箇所に設けること。

・(ニ) 操作部の直近の見やすい箇所に排煙設備の起動装置である旨及びその使用方法を表示すること。

  • ロ 自動起動装置は、次に定めるところによること。

・(イ) 自動火災報知設備の感知器の作動、閉鎖型スプリンクラーヘッドの開放又は火災感知用ヘッドの作動若しくは開放と連動して起動するものであること。

 

・(ロ) 防災センター等に自動手動切替え装置を設けること。この場合において、手動起動装置はイの規定に適合するものであること。

 

 排煙機及び給気機は、点検に便利で、かつ、火災等の災害による被害を受けるおそれが少ない箇所に設けること。

 

 排煙設備の性能は、次のイからハまでに定めるところによること。

  • イ 排煙機により排煙する防煙区画にあっては、当該排煙機の性能は、次の表の上欄に掲げる防煙区画の区分に応じ、同表の下欄に掲げる性能以上であること。
防煙区画の区分
性能
消火活動拠点
240 ㎥毎分(特別避難階段の附室と非常用エレベーターの乗降ロビーを兼用するものにあっては、360 ㎥毎分)の空気を排出する性能
消火活動拠点以外の部分
令第二十八条第一項第一号に掲げる防火対象物
300 ㎥毎分(一の排煙機が二以上の防煙区画に接続されている場合にあっては、600 ㎥毎分)の空気を排出する性能
令第二十八条第一項第二号及び第三号に掲げる防火対象物
120 ㎥毎分又は当該防煙区画の床面積に1㎥毎分(一の排煙機が二以上の防煙区画に接続されている場合にあっては、2㎥毎分)を乗じて得た量のうちいずれか大なる量の空気を排出する性能
  • ロ 直接外気に接する排煙口から排煙する防煙区画にあっては、当該排煙口の面積の合計は、次の表の上欄に掲げる防煙区画の区分に応じ、同表の下欄に掲げる面積以上であること。
防煙区画の区分
面積
消火活動拠点
2㎡(特別避難階段の附室と非常用エレベーターの乗降ロビーを兼用するものにあっては、3㎡)
消火活動拠点以外の部分
当該防煙区画の床面積の1 / 50となる面積
  • ハ 消火活動拠点の給気は、消火活動上必要な量の空気を供給することができる性能の給気機又は面積の合計が1㎡(特別避難階段の附室と非常用エレベーターの乗降ロビーを兼用するものにあっては、1.5㎡)以上の直接外気に接する給気口により行うこと。

七 電源は、第二十四条第三号の規定の例により設けること。

 

八 非常電源は、第十二条第一項第四号の規定の例により設けること。

 

九 操作回路の配線は、第十二条第一項第五号の規定の例により設けること。

 

十 第十二条第一項第八号の規定は、排煙設備について準用する。

 

十一 風道、排煙機、給気機及び非常電源には、第十二条第一項第九号に規定する措置を講ずること。

 

関連ブログ


排煙窓オペレーターに関するTwitter上の議論まとめ

排煙窓の隣にある手動開放装置
管理人が撮影した排煙窓の隣にある手動開放装置。

Twitter上で、あの『Why Japanese people!?』のフレーズで有名な厚切りジェイソンさん(@atsugirijason)が “排煙窓の手動開放装置(オペレーター)” の表示について言及されておりまして、そこに『青木防災さん!』と呼ばれてホイホイ参上してリプライさせて頂きました。🐤(´∀`*)ウフフ♪

 

当該厚切りジェイソンさんのツイートがバズっていたのもあり、管理人のリプライにもまあ色々な反響がありまして、幾つか140字では永遠に分かってもらえないのでは!?と思われる事もありましたので、ここに纏めさせて頂きます。📁✨

 

✍(´-`).。oO(得てして論点が複数ある議題は炎上することが多く‥、、時に『え!?そんなこと言う??』と感じるツイートも中にはあり、便利なSNSに関しても昨今思うところがありますよね‥。。)

続きを読む 2 コメント

防排煙設備“連動制御器”の交換工事

3種の煙感知器、防火シャッター及び連動制御器
左:3種の煙感知器、中央:防火シャッター、右:連動制御器

防排煙設備の “連動制御器” は、3種の煙感知器が発報することで防火シャッターを閉鎖させる 為の設備です。💡

✍(´-`).。oO(“連動操作盤” との違いは本文中に記します…。。)

 

正確には消防用設備ではなく防火設備に分類されますが、防火区画を形成し人命を火災から守る上で重要な役割を果たします。🔥

 

防火対象物の中には、防火区画があることを条件に消防用設備が免除されるケースもある為、防災屋は “防排煙設備” に関しても詳しい必要があります。📝✨

 

改修工事の模様等を以下に記していきます。(^^)/✎♪

続きを読む 3 コメント

“排煙口”のオペレーターについて

排煙口が開いているとき
天井に設けられた排煙口が開き、煙が排煙風道を通って外に出される。

排煙口とは、火災時に煙を逃がすための排出口を指します。💡

 

火災発生時には有毒な煙が伝搬することで被害が拡大する為、効果的に煙を外へ逃す措置も取られます。🔧

 

防火区画と組み合わせて、この排煙口を設置することで13条区画というスプリンクラー設備が免除される防火対象物とみなされることもあります。🏠( ゚Д゚)👌✨

 

今回その排煙口オペレーターの手動起動ボタン移設工事を行いました。👷‼

✍(´-`).。oO(以下に詳細を記していきます…。。)

続きを読む 3 コメント