第27条〔避難器具に関する基準の細目〕


避難器具の設置及び維持に関する技術上の基準の細目は、次のとおりとする。

 

一 避難器具のうち、特定一階段等防火対象物又はその部分に設けるものにあっては、次のイからハまでのいずれかに適合するものであること。

  • イ 安全かつ容易に避難することができる構造のバルコニー等に設けるもの。
  • ロ 常時、容易かつ確実に使用できる状態で設置されているもの。
  • ハ 一動作(開口部を開口する動作及び保安装置を解除する動作を除く。)で、容易かつ確実に使用できるもの。

 避難器具(すべり棒、避難ロープ、避難橋及び避難用タラツプを除く。)を設置する開口部は、相互に同一垂直線上にない位置にあること。ただし、避難上支障のないものについては、この限りでない。

 

 避難器具の設置の表示は、次のイからハまでに定めるところによること。

  • イ 特定一階段等防火対象物における避難器具を設置し、又は格納する場所(以下この号において「避難器具設置等場所」という。)の出入口には、当該出入口の上部又はその直近に、避難器具設置等場所であることが容易に識別できるような措置を講じること。
  • ロ 避難器具設置等場所には、見やすい箇所に避難器具である旨及びその使用方法を表示する標識を設けること。
  • ハ 特定一階段等防火対象物における避難器具設置等場所がある階のエレベーターホール又は階段室(附室が設けられている場合にあつては、当該附室)の出入口付近の見やすい箇所に避難器具設置等場所を明示した標識を設けること。

 避難はしごのうち固定はしごは、次のイからホまでに定めるところにより設けること。

  • イ 固定はしごは、防火対象物の柱、床、はりその他構造上堅固な部分又は堅固に補強された部分に取り付けること。
  • ロ 固定はしごは、ボルト締め、埋込み、溶接その他の方法で堅固に取り付けること。
  • ハ 固定はしごの横さんは、防火対象物から十センチメートル以上の距離を保有することとなるように設けること。
  • ニ 固定はしごの降下口の大きさは、直径五十センチメートル以上の円が内接する大きさであること。
  • ホ 四階以上の階に固定はしごを設けるときは、イからニまでによるほか、次の(イ)から(ハ)に定めるところによること。

(イ) 固定はしごは、金属製であること。

 

(ロ) 固定はしごは、安全かつ容易に避難することができる構造のバルコニー等に設けること。ただし、当該固定はしごを使用する際の落下を防止するための措置が講じられているものについては、この限りでない。

 

(ハ) 固定はしごの降下口は、直下階の降下口と相互に同一垂直線上にない位置に設けること。ただし、避難上及び安全上支障のないものについては、この限りでない。

 

 避難はしごのうちつり下げはしごは、次のイからニまでに定めるところにより設けること。

  • イ つり下げはしごの取付け具は、防火対象物の柱、床、はりその他構造上堅固な部分又は堅固に補強された部分につり下げはしごを容易に取り付けることができるように設けること。ただし、堅固な窓台その他これに類するものに直接つり下げはしごをつり下げる場合にあつては、当該取付け具を設けることを要しない。
  • ロ イの取付け具(避難器具用ハッチを除く。)に用いる材料は、日本工業規格G三一〇一若しくはG三四四四に適合するもの又はこれらと同等以上の強度及び耐久性を有するものであり、かつ、耐食性を有しない材質のものにあつては、耐食加工を施したものであること。
  • ハ つり下げはしごの横さんは、使用の際、防火対象物から十センチメートル以上の距離を保有することとなるように設けること。
  • ニ 四階以上の階につり下げはしごを設けるときは、イからハまでによるほか、次の(イ)から(ハ)までに定めるところによること。

(イ) つり下げはしごは、金属製であること。

 

(ロ) 安全かつ容易に避難することができる構造のバルコニー等に設け、かつ、取付け具は避難器具用ハッチとすること。ただし、当該つり下げはしごを使用する際の落下を防止するための措置が講じられているものについては、この限りでない。

 

(ハ) つり下げはしごの降下口は、直下階の降下口と相互に同一垂直線上にない位置に設けること。ただし、避難上及び安全上支障のないものについては、この限りでない。

 

 緩降機は、次のイからハまでに定めるところにより設けること。

 

  • イ 緩降機は、降下の際、ロープが防火対象物と接触して損傷しないように設けること。
  • ロ 緩降機のロープの長さは、取付位置から地盤面その他の降着面までの長さとすること。
  • ハ 緩降機の取付け具は、次の(イ)から(ハ)までに定めるところによること。

(イ) 取付け具は、防火対象物の柱、床、はりその他構造上堅固な部分又は堅固に補強された部分に緩降機を容易に取り付けることができるように設けること。

 

(ロ) 取付け具は、ボルト締め、溶接その他の方法で堅固に取り付けること。

 

(ハ) 取付け具に用いる材料は、日本工業規格G三一〇一若しくはG三四四四に適合するもの又はこれらと同等以上の強度及び耐久性を有するものであり、かつ、耐食性を有しない材質のものにあつては、耐食加工を施したものであること。

 

 すべり台は、次のイからニまでに定めるところにより設けること。

  • イ すべり台は、防火対象物の柱、床、はりその他構造上堅固な部分又は堅固に補強された部分に取り付けること。
  • ロ すべり台は、ボルト締め、埋込み、溶接その他の方法で堅固に取り付けること。
  • ハ 避難上支障がなく、かつ、安全な降下速度を保つことができるように設けること。
  • ニ 転落を防止するための適当な措置を講じたものであること。

 すべり棒及び避難ロープは、次のイからハまでに定めるところにより設けること。

  • イ すべり棒及び避難ロープの長さは、取付け位置から地盤面その他の降着面までの長さとすること。
  • ロ すべり棒は、その上部及び下部を取付け具で固定できるものであること
  • ハ すべり棒及び避難ロープの取付け具は、第五号イ及びロの規定の例により設けること。

 避難橋及び避難用タラツプは、次のイ及びロに定めるところにより設けること。

  • イ 避難橋及び避難用タラツプは、防火対象物の柱、床、はりその他構造上堅固な部分又は堅固に補強された部分に取り付けること。
  • ロ 避難橋及び避難用タラツプは、一端をボルト締め、溶接その他の方法で堅固に取り付けること。

 救助袋は、次のイからニまでに定めるところにより設けること。

  • イ 救助袋の長さは、避難上支障がなく、かつ、安全な降下速度を保つことができる長さであること。
  • ロ 救助袋は、防火対象物の柱、床、はりその他構造上堅固な部分又は堅固に補強された部分に取り付けること。
  • ハ 救助袋の取付け具は、ボルト締め、溶接その他の方法で堅固に取り付けること。
  • ニ 取付け具に用いる材料は、日本工業規格G三一〇一若しくはG三四四四に適合するもの又はこれらと同等以上の強度及び耐久性を有するものであり、かつ、耐食性を有しない材質のものにあっては、耐食加工を施したものであること。

十一 避難器具(金属製避難はしご及び緩降機を除く。)は、消防庁長官が定める基準に適合するものであること。

 

2 前項に規定するもののほか、避難器具の設置及び維持に関し必要な事項は、消防庁長官が定める。