第3条〔炉〕


炉の位置及び構造は、次に掲げる基準によらなければならない。

 

(1) 火災予防上安全な距離を保つことを要しない場合(不燃材料(建築基準法(昭和 25 年法律第 201 号)第2 条第 9 号に規定する不燃材料をいう。以下同じ。)で有効に仕上げをした建築物等(消防法施行令(昭和 36年政令第 37 号。以下令という。)第 5 条第 1 項第 1 号に規定する建築物等をいう。以下同じ。)の部分の構造が耐火構造(建築基準法第 2 条第 7 号に規定する耐火構造をいう。以下同じ。)であって、間柱、下地その他主要な部分を準不燃材料(建築基準法施行令(昭和 25 年政令第 338 号)第 1 条第 5 号に規定する準不燃材料をいう。

以下同じ。)で造ったものである場合又は当該建築物等の部分の構造が耐火構造以外の構造であって、間柱、下地その他主要な部分を不燃材料で造ったもの(有効に遮熱できるものに限る。)である場合をいう。以下同じ。)を除き、建築物等及び可燃性の物品から次に掲げる距離のうち、火災予防上安全な距離として消防長が認める距離以上の距離を保つこと

  • ア 別表第 1 の左欄に掲げる炉の種類の区分に応じ、それぞれ同表の右欄に定める離隔距離
  • イ 「対象火気設備等及び対象火気器具等の離隔距離に関する基準」(平成 14 年消防庁告示第 1 号。以下離隔距離に関する基準という。)により得られる離隔距離

(2) 可燃物が落下し、又は接触するおそれのない位置に設けること

 

(3) 可燃性のガス又は蒸気が発生し、又は滞留するおそれのない位置に設けること

 

(4) 階段、避難口等の付近で避難の支障となる位置に設けないこと

 

(5) 燃焼に必要な空気を取り入れることができ、かつ、有効な換気を行うことができる位置に設けること

 

(6) 屋内に設ける場合にあつては、土間又は不燃材料のうち金属以外のもので造つた床上に設けること。

ただし、金属で造った床上又は台上に設ける場合において防火上有効な措置を講じたときは、この限りでない。

 

(7) 地震その他の振動又は衝撃(以下地震等という。)により容易に転倒し、き裂し、又は破損しない構造とすること

(8) 使用に際し火災の発生のおそれのある部分を不燃材料で造ること

 

(9) 表面温度が過度に上昇しない構造とすること

 

(10) 屋外に設ける場合にあつては、風雨等により口火及びバ一ナーの火が消えないような措置を講ずること。ただし、第 18 号の 2 アに掲げる装置を設けたものにあつては、この限りでない。

 

(11) 開放炉又は常時油類その他これに類する可燃物を煮沸する炉にあつては、その上部に不燃性の排気ダクト及び天がい(以下排気ダクト等という。)を屋外に通ずるように設けるとともに、火粉の飛散又は火炎の伸長により火災の発生のおそれのあるものにあつては、防火上有効な遮へいを設けること

 

(12) 溶融物があふれるおそれのある構造の炉にあつては、あふれた溶融物を安全に誘導する装置を設けること

 

(13) 熱風炉は、熱交換部分を耐熱性の金属材料等で造るとともに、加熱された空気の温度が異常に上昇した場合において熱風の供給を断つ非常停止装置を設けること

 

(14) 熱風炉に付属する風道については、次によること

  • ア 風道並びにその被覆及び支わくは、不燃材料で造るとともに、風道の炉に近接する部分及び防火上有効な位置に防火ダンパ一を設けること
  • イ アの防火ダンパーのうち、炉に近接する部分に設けるものから 2 メートル以内の部分及び当該防火ダンパーから炉までの部分は、建築物等の可燃性の部分及び可燃性の物品との間に 15 センチメートル以上の距離を保つこと。ただし、厚さ 10 センチメートル以上の金属以外の不燃材料で被覆する部分については、この限りでない。
  • ウ 給気口は、じんあいの混入を防止する構造とすること

(15) まき、石炭その他の固体燃料を使用する炉にあつては、たき口から火粉等が飛散しない構造とするとともに、これに付置する取灰入れ及び燃料置場並びに灰捨場については、次によること

  • ア 取灰入れは、ふたのある不燃性のものとし、不燃材料で造つた台上に設けるか、又は防火上有効な底面通気の措置を講じて付置し、灰捨場は不燃材料で造り、建築物等の可燃性の部分及び可燃性の物品から火災予防上安全な距離を保つこと。ただし、十分な広さを有する空地等で燃えがら等の飛散しないよう火災予防上安全な措置を講じたときは、この限りでない。
  • イ 燃料置場は、火源と火災予防上安全な距離を保つとともに、隣地境界線等に接近して設けるときは、必要に応じ防火上有効なへい等を設けること

(16) 削除

 

(17) 灯油、重油その他の液体燃料を使用する炉の付属設備は、次によること

  • ア 燃料タンクは、使用中燃料が漏れ、あふれ又は飛散しない構造とすること
  • イ 燃料タンクは、地震等により容易に転倒又は落下しないように設けるとともに、燃料の流出を防止できる構造とすること
  • ウ 燃料タンクは、たき口との間に 2 メートル以上の水平距離を保つか、又は防火上有効な遮へいを設けること。ただし、油温が著しく上昇するおそれのない燃料タンクにあつては、この限りでない。
  • エ 燃料タンクは、その容量(タンクの内容積の 90 パーセントの量をいう。第 4 章を除き以下同じ。)に応じ、次の表に掲げる厚さの鋼板又はこれと同等以上の強度を有する金属板で気密に造ること
タンクの容量 板厚
5 リットル以下  0.6 ミリメートル以上
5 リットルを超え 20 リットル以下  0.8 ミリメートル以上
20 リットルを超え 40 リットル以下  1.0 ミリメートル以上
40 リットルを超え 100 リットル以下  1.2 ミリメートル以上
100 リットルを超え 250 リットル以下  1.6 ミリメートル以上
250 リットルを超え 500 リットル以下  2.0 ミリメートル以上
500 リットルを超え 1,000 リットル以下  2.3 ミリメートル以上
1,000 リットルを超え 2,000 リットル以下 2.6 ミリメートル以上
2,000 リットルを超えるもの  3.2 ミリメートル以上
  • オ 燃料タンクを屋内に設ける場合にあつては、不燃材料で造った床上に設けること
  • カ 燃料タンクの架台は、不燃材料で造ること
  • キ 燃料タンクの配管には、タンク直近の容易に操作できる位置に開閉弁を設けること
  • ク 燃料タンク又は配管には、有効なろ過装置を設けること。ただし、ろ過装置が設けられた炉の燃料タンク又は配管にあつては、この限りでない。
  • ケ 燃料タンクには、見やすい位置に燃料の量を自動的に覚知することができる装置を設けること
  • コ 燃料タンクは、水抜きができる構造とすること
  • サ 燃料タンクには、通気管又は通気口を設けること。この場合において、当該燃料タンクを屋外に設けるときは、当該通気管又は通気口の先端から雨水が浸入しない構造とすること
  • シ 燃料タンクの外面には、さびどめのための措置を講ずること。ただし、アルミニウム合金、ステンレス鋼その他さびにくい材質で作られた燃料タンクにあつては、この限りでない。
  • ス 燃焼装置に過度の圧力がかかるおそれのある炉にあつては、異常燃焼を防止するための減圧装置を設けること
  • セ 燃料を予熱する方式の炉にあつては、燃料タンク又は配管を直火で予熱しない構造とするとともに、過度の予熱を防止する措置を講ずること

(18) 液体燃料又はプロパンガス、石炭ガスその他の気体燃料を使用する炉にあつては、多量の未燃ガスが滞留せず、かつ、点火及び燃焼の状態が確認できる構造とするとともに、その配管については、次によること

  • ア 金属管を使用すること。ただし、燃焼装置、燃料タンク等に接続する部分で金属管を使用することが構造上又は使用上適当でない場合は、金属管以外の管で当該燃料におかされないものを使用することができる。
  • イ 接続は、ねじ接続、フランジ接続又は溶接等とすること。ただし、金属管と金属管以外の管を接続する場合にあつては、さし込み接続とすることができる。
  • ウ イのさし込み接続による場合は、その接続部分をホースバンド等で締めつけること

(18 の 2) 液体燃料又は気体燃料を使用する炉にあつては、必要に応じ次の安全装置を設けること

  • ア 炎が立ち消えた場合等において安全を確保できる装置
  • イ 未燃ガスが滞留するおそれのあるものにあつては、点火前及び消火後に自動的に未燃ガスを排出できる装置
  • ウ 炉内の温度が過度に上昇するおそれのあるものにあつては、温度が過度に上昇した場合において自動的に燃焼を停止できる装置
  • エ 電気を使用して燃焼を制御する構造又は燃料の予熱を行う構造のものにあつては、停電時において自動的に燃焼を停止できる装置

(19) 気体燃料を使用する炉の付属設備については、次によること

  • ア 燃焼装置は、炎の分布及び燃焼状態が良好な構造とし、必要に応じて燃焼の安全を確保するため逆風止装置を設けること
  • イ 計量器は、電気開閉器、電動機その他の電気設備から 60 センチメートル以上離し、かつ、周囲に延焼のおそれのない位置に設けること
  • ウ 酸素、高圧ガス又は圧縮空気を併用する場合は、配管の途中に逆火防止装置を設けること
  • エ 燃料容器は、屋外の通風のよい場所で直射日光等による熱影響のすくない位置に設けるとともに、地震等により容易に転倒又は落下しないように措置を講ずること
  • オ 燃料容器は、漏れたガスが屋内に流入しないよう建築物の出入口、窓、床下等の開口部と十分な距離を保つこと

(20) 電気を熱源とする炉にあつては、次によること

  • ア 電線、接続器具等は、耐熱性を有するものを使用するとともに、短絡を生じないように措置すること
  • イ 炉内の温度が過度に上昇するおそれのあるものにあつては、必要に応じ温度が過度に上昇した場合において自動的に熱源を停止できる装置を設けること

(21) 熱媒を利用する炉にあっては、熱媒の性質に応じて容易に腐食しない材料を用い、適当な温度及び圧力測定装置を設け、加熱に際して局部加熱を避ける構造とすること

 

炉の管理は、次に掲げる基準によらなければならない。

 

(1) 炉及びその付属設備の周囲は、常に整理及び清掃に努めるとともに、燃料その他の可燃物をみだりに放置しないこと

 

(2) 炉及びその付属設備は、必要な点検及び整備を行い、火災予防上有効に保持すること

 

(3) 液体燃料を使用する炉及びその付属設備並びに電気を熱源とする炉及びその付属設備にあつては、消防長が定める点検及び整備を必要な知識及び技能を有する者として消防長が指定するものに行わせること

 

(4) 設備に応じた適正な燃料を使用すること

 

(5) 燃料の性質等により異常燃焼を生ずるおそれのある炉にあつては、使用中監視人を置くこと。ただし、異常燃焼を防止するために必要な措置を講じたときは、この限りでない。

 

入力350kW以上の炉にあつては、不燃材料で造つた壁、柱、床及び天井(天井のない場合にあっては、はり及び屋根)で区画され、かつ、窓及び出入口等に防火戸(建築基準法第 2 条第 9 号の 2 ロに規定する防火設備(以下防火設備という。)であるものに限る。以下同じ。)を設けた室内に設けること。ただし、炉の周囲に有効な空間を保有する等防火上支障のない措置を講じた場合においては、この限りでない。

 

前 3 項に規定するもののほか、液体燃料を使用する炉の位置、構造及び管理の基準については、第 31条及び第 32 条の 2 から第 32 条の 5 まで(第 32 条の 3 の 2 第 1 号及び第 2 号並びに第 32 条の 4 第 2 項第 1号から第 3 号まで及び第 8 号を除く。)の規定を準用する。