第10条〔屋内貯蔵所の基準〕


屋内貯蔵所(次項及び第三項に定めるものを除く。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、次のとおりとする。

 

一 屋内貯蔵所の位置は、前条第一項第一号に掲げる製造所の位置の例によるものであること。

 

二 危険物を貯蔵し、又は取り扱う建築物(以下この条において「貯蔵倉庫」という。)の周囲に、次の表に掲げる区分に応じそれぞれ同表に定める幅の空地を保有すること。ただし、二以上の屋内貯蔵所を隣接して設置するときは、総務省令で定めるところにより、その空地の幅を減ずることができる。

区分
空地の幅
当該建築物の壁、柱及び床が耐火構造である場合
上欄に掲げる場合以外の場合
指定数量の倍数が5以下の屋内貯蔵所
 
0.5 ⅿ以上
指定数量の倍数が5を超え10以下の屋内貯蔵所
1m以上
1.5 ⅿ以上
指定数量の倍数が10を超え20以下の屋内貯蔵所
2m以上
3ⅿ以上
指定数量の倍数が20を超え50以下の屋内貯蔵所
3ⅿ以上
5m以上
指定数量の倍数が50を超え200以下の屋内貯蔵所
5m以上
10 m以上
指定数量の倍数が200を超える屋内貯蔵所
10 m以上
15 ⅿ以上

三 屋内貯蔵所には、総務省令で定めるところにより、見やすい箇所に屋内貯蔵所である旨を表示した標識及び防火に関し必要な事項を掲示した掲示板を設けること。

 

三の二 貯蔵倉庫は、独立した専用の建築物とすること。

 

四 貯蔵倉庫は、地盤面から軒までの高さ(以下「軒高」という。)が6ⅿ未満の平家建とし、かつ、その床を地盤面以上に設けること。ただし、第二類又は第四類の危険物のみの貯蔵倉庫で総務省令で定めるものにあっては、その軒高を20 ⅿ未満とすることができる。

 

五 一の貯蔵倉庫の床面積は、1,000 ㎡を超えないこと。

 

六 貯蔵倉庫は、壁、柱及び床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で造るとともに、延焼のおそれのある外壁を出入口以外の開口部を有しない壁とすること。

ただし、指定数量の10倍以下の危険物の貯蔵倉庫又は第二類若しくは第四類の危険物(引火性固体及び引火点が七十度未満の第四類の危険物を除く。)のみの貯蔵倉庫にあつては、延焼のおそれのない外壁、柱及び床を不燃材料で造ることができる。

 

七 貯蔵倉庫は、屋根を不燃材料で造るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ、天井を設けないこと。ただし、第二類の危険物(粉状のもの及び引火性固体を除く。)のみの貯蔵倉庫にあつては屋根を耐火構造とすることができ、第五類の危険物のみの貯蔵倉庫にあつては当該貯蔵倉庫内の温度を適温に保つため、難燃性の材料又は不燃材料で造つた天井を設けることができる。

 

八 貯蔵倉庫の窓及び出入口には、防火設備を設けるとともに、延焼のおそれのある外壁に設ける出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設けること。

 

九 貯蔵倉庫の窓又は出入口にガラスを用いる場合は、網入ガラスとすること。

 

十 第一類の危険物のうちアルカリ金属の過酸化物若しくはこれを含有するもの、第二類の危険物のうち鉄粉、金属粉若しくはマグネシウム若しくはこれらのいずれかを含有するもの、第三類の危険物のうち第一条の五第五項の水との反応性試験において同条第六項に定める性状を示すもの(カリウム、ナトリウム、アルキルアルミニウム及びアルキルリチウムを含む。以下「禁水性物品」という。)又は第四類の危険物の貯蔵倉庫の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。

 

十一 液状の危険物の貯蔵倉庫の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適当な傾斜を付け、かつ、貯留設備を設けること。

 

十一の二 貯蔵倉庫に架台を設ける場合には、架台の構造及び設備は、総務省令で定めるところによるものであること。

 

十二 貯蔵倉庫には、危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設けるとともに、引火点が70℃未満の危険物の貯蔵倉庫にあっては、内部に滞留した可燃性の蒸気を屋根上に排出する設備を設けること。

 

十三 電気設備は、前条第一項第十七号に掲げる製造所の電気設備の例によるものであること。

 

十四 指定数量の10倍以上の危険物の貯蔵倉庫には、総務省令で定める避雷設備を設けること。ただし、周囲の状況によって安全上支障がない場合においては、この限りでない。

 

十五 第五類の危険物のうちセルロイドその他温度の上昇により分解し、発火するおそれのあるもので総務省令で定めるものの貯蔵倉庫は、当該貯蔵倉庫内の温度を当該危険物の発火する温度に達しない温度に保つ構造とし、又は通風装置、冷房装置等の設備を設けること。

 

2 屋内貯蔵所のうち第二類又は第四類の危険物(引火性固体及び引火点が七十度未満の第四類の危険物を除く。)のみを貯蔵し、又は取り扱うもの(貯蔵倉庫が平家建以外の建築物であるものに限る。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、前項第一号から第三号の二まで及び第七号から第十四号までの規定の例によるほか、次のとおりとする。

  • 一 貯蔵倉庫は、各階の床を地盤面以上に設けるとともに、床面から上階の床の下面(上階のない場合には、軒)までの高さ(以下「階高」という。)を六メートル未満とすること。
  • 二 一の貯蔵倉庫の床面積の合計は、1,000 ㎡を超えないこと。
  • 三 貯蔵倉庫は、壁・柱・床及びはりを耐火構造とし、かつ、階段を不燃材料で造るとともに、延焼のおそれのある外壁を出入口以外の開口部を有しない壁とすること。
  • 四 貯蔵倉庫の二階以上の階の床には、開口部を設けないこと。ただし、耐火構造の壁又は防火設備で区画された階段室については、この限りでない。

 

3 屋内貯蔵所のうち指定数量の倍数が二十以下のもの(屋内貯蔵所の用に供する部分以外の部分を有する建築物に設けるものに限る。)の位置、構造及び設備の技術上の基準は、第一項第三号及び第十号から第十五号までの規定の例によるほか、次のとおりとする。

  • 一 屋内貯蔵所は、壁、柱、床及びはりが耐火構造である建築物の一階又は二階のいずれか一の階に設置すること。
  • 二 建築物の屋内貯蔵所の用に供する部分は、床を地盤面以上に設けるとともに、その階高を六メートル未満とすること。
  • 三 建築物の屋内貯蔵所の用に供する部分の床面積は、七十五平方メートルを超えないこと。
  • 四 建築物の屋内貯蔵所の用に供する部分は、壁、柱、床、はり及び屋根(上階がある場合には、上階の床)を耐火構造とするとともに、出入口以外の開口部を有しない厚さ七十ミリメートル以上の鉄筋コンクリート造又はこれと同等以上の強度を有する構造の床又は壁で当該建築物の他の部分と区画されたものであること。
  • 五 建築物の屋内貯蔵所の用に供する部分の出入口には、随時開けることができる自動閉鎖の特定防火設備を設けること。
  • 六 建築物の屋内貯蔵所の用に供する部分には、窓を設けないこと。
  • 七 建築物の屋内貯蔵所の用に供する部分の換気及び排出の設備には、防火上有効にダンパー等を設けること。

 

4 指定数量の倍数が五十以下の屋内貯蔵所については、総務省令で、第一項に掲げる基準の特例を定めることができる。

 

5 高引火点危険物のみを貯蔵し、又は取り扱う屋内貯蔵所については、総務省令で、第一項、第二項及び前項に掲げる基準の特例を定めることができる。

 

6 有機過酸化物及びこれを含有するもののうち総務省令で定める危険物又はアルキルアルミニウム、アルキルリチウムその他の総務省令で定める危険物を貯蔵し、又は取り扱う屋内貯蔵所については、当該危険物の性質に応じ、総務省令で、第一項から第四項までに掲げる基準を超える特例を定めることができる。